認知症、皆保険、終末医療など少子高齢化によって、社会が直面する問題をテーマにした社会派ミステリー。フリーペーパーの記者・国吉冬美は、老老介護をテーマに、寝たきりで認知症を患う妻を介護する夫の取材に自分の心酔するルポライターの杉作舜一が京都にきていることを知り心躍らせる。しかし杉作が訪問した時妻は絞殺され、夫は首を吊って死んでいた。遺書はないが無理心中「夫婦の死には何らかのメッセージが込められている」と杉作は調査を開始。そんな杉作のルポを手伝うことになった冬美は・・・。冬美の行動が「仕事サボって私事に奔走」と見えて感情移入出来なかった。老老介護の現場の空気はよく書かれている、国民皆保険の実情、医療従事者の疲弊感。医療の株式化の問題。冬美が無理心中をした隣人の高齢者夫婦や訪問看護の看護師や先輩達と小さな違和感をコツコツ積み重ねて疑問を解いて行くと驚きの真実が明らかになる展開です。諸問題にいろいろ考えさせられたミステリーでした。
2018年12月徳間書店刊
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