サスペンス小説群像劇。2020年7月。オリンピック開催間近の東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってくる。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と起こる。鉄道の線路が破壊され、高速道路ではトンネル火災が。さらには大型台風の接近などが重なりあちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの観光客がひしめく東京は陸の孤島に。この危機から東京を救うため、物流のプロである長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる。
「今、起こりうる物流崩壊の危機」をリアルに描いたタイムリーなサスペンス。著者が書いたのは2018年6月から2019年11月ごろだろう。まさか東京オリンピックが新型コロナウィルス蔓延で延期になるなんて誰も予想していなかった時に書かれている当にパラレルの日本の世界のようだ。オリンピック期間中、海外から多くの観光客が訪れている人口が最大になった時に災害よる物流のストップ。それが社会にどれだけのパニックを引き起こすか、犯行動機の産廃処理・ごみ処理の問題など改めて考えさせられた。やっぱり「絆」は大事だだよなぁ~。
「HOLLOWOUT」とはえぐって穴を開ける、へこます、えぐること。
2020年3月東京創元社刊
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