読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

太田忠司著「和菓子迷宮をぐるぐると」

2023-05-08 | あ行
主人公の変わり者と言われる理系大学生・河合涼太が出会ったのは、あまりに美しい「和菓子」。その「美味しさ」にも魅せられ、すっかり和菓子の虜になってしまい、勢いのあまり大学院に進まずに和菓子職人になることを決意し、製菓専門学校に入学してしまう。学校では、自己肯定感の低い寿莉や個性豊かな学生たちとともに和菓子作りに精を出すが、和菓子はとにかく答えがない。自分の和菓子を作ろうと苦心するも、理系的思考が数値だけでは測りにくい和菓子作りの邪魔をして・・・。涼太のキャラが世の中の常識や慣習に縛られることなく疑問に思うことを口にでき、解決しようとする性格が面白い。「料理は化学」「頑張れば道は開けます」と理系で前向きな性格が、周りの女子をも巻き込み、コンクールへの参加まで決定。この世界、餡の作り方でも100軒の和菓子屋があれば100通りあり、試行錯誤の中で自分なりの正解を得るしかない世界なのだ。「自分の人生を自分で決めるのはたしかにしんどい・・・だけど大切なことですよ、大切だから逃げられない、逃げられないからしんどい・・・今のことは今の自分に決めさせて、将来のことは将来の自分が決めれば・・・」(p305~306)青春の葛藤、成長物語。お仕事小説ですが面白かった。
2021年2月ポプラ社刊

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