社会の歪みに隠された真実を追う。少年死刑囚の脱獄488日を追う。埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚鏑木慶一が脱獄した。東京オリンピック施設の工事現場で、スキー場の旅館の住み込みバイトで、新興宗教の説教会で、人手不足に喘ぐグループホーム等々。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は、その逃避行の日々とは・・・
冤罪の主人公の苦悩を具体的にするための伏線が各所に。そして派遣、若年認知症、介護問題、冤罪の恐ろしさ。疑いを晴らす潔白を証明する難しさなど、あらゆる社会問題を同時に絡める仕掛けと展開に脱帽。結末は悲しいが面白いミステリーでした。
2020年1月光文社刊
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