いつものように郵便受けを見ると、ロサンゼルスからの国際郵便が届いていた。一瞬、一体何事かと思ったが、差出人を見てすぐに事情が飲み込めた。まさかとは思ったが、そうか、ついにウチにもこれが来たのか──。
そのロスからの国際郵便は、時代がかったと言うか、芝居じみていると言うか、二重の封蝋がなされていた。1つは封筒に、もう1つは中の手紙に。その封蝋を開いた先、手紙の文面はこうだ。
世界文化福祉財団
社会貢献功労賞受賞内定のお知らせについて
Congratulations!
受賞内定おめでとうございます。
アメリカ合衆国、ロサンゼルスに総本部があります世界文化福祉財団顕彰日本選考委員会は、2010年(平成22年度)の授与者選考を行って参りましたが、その結果多数の中から、尊台の多年にわたる日頃の地道な努力と精進の結果、斯道の発展と日本社会の発展に寄与した功績が顕著であることが選考委員会で認められ、尊台に対し社会貢献功労賞を授与することが内定致しました。当財団から賞を授与する事により、社会に多大なる貢献をなさっておられる尊台への信用も更に増し、より一層のキャリアアップにお役立ていただければ光栄でございます。
これからの尊台の輝かしい未来と更なる発展・ご活躍を期待しております。
つきましては受賞伝達式に関して、具体的なお打ち合わせを至急致したく存じます。ご多用中誠に恐縮に存じ上げますが、本書到着次第、何時当会本部迄ご足労頂けるのか、或いは、先生がご渡航不能な場合はこちらから参上させて頂きますので、都合その他をメール、或いはお電話(1-408-603-8168)にてご返事を賜りたくお願い申し上げます。
メールでご返事を頂く場合は、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、表彰の受賞方法(アメリカで直接表彰、郵送で表彰、日本での表彰の何れかをお選び下さい)アメリカで表彰をご希望の方は、渡航可能日時を第三希望まで明記の上、info@worldfcd.orgまでお返事を頂けますようお願い申し上げます。
略儀ながら内定のご通知をさせていただいております。
World H C Foundation
世界文化福祉財団顕彰日本選考委員会
住所:7095 Hollywood Blvd. #673 Hollywood, CA 90028
電話番号:1-408-603-8168(ロサンゼルス時間:平日9a.m. - 5p.m.)
メール:info@worldfcd.org(日本語でお問い合わせいただけます。)
ウェブサイト:http://worlfhcf.org
そうか…やっと私のこれまでの努力と功績が認められたのか。実に長かった…
──なんてワケはなくて、これは明らかに詐欺だ。その証拠に、ブログやSNSを見ると、ここ数日の間に同じものがあちこちの治療院に届いていて、中にはまだ開院1年にもならないところまで含まれているとか。
中身もよくよく見ると、変なところが多々ある。例えば、本当に権威ある機関が賞の授与を内示する通知を出す場合、その文面は細心の注意を持って書かれているはずだ。この手紙のように、「いただく」と「頂く」が混在していたり、「当財団から賞を授与する事により(中略)尊台への信用も更に増し、より一層のキャリアアップにお役立ていただければ光栄でございます。」のようなヘンテコな文にはならないだろう。これ書いた人、日本語力、低すぎ
だが何より奇妙なのは、文面に授賞式の日程が記されていないばかりか「渡航可能日時を第三希望まで明記の上…」とあることだ。つまり、「授賞式の日程は受賞する皆さんの都合に合わせますよ」と言っているのである。そんな賞、聞いたことないぞ
とにかく手の込んだ仕掛けだが、連中はこれを使ってどんな詐欺を企んでいるんだろうか? 私は臆病者なので、自分が囮になってそれを暴いてやろうなどとは全然思わない(やることと言えば、せいぜいこうやってブログで注意を呼びかけるくらいだ)が、敢えてその罠に飛び込んでみようという先生を止める気はないので、そういう人がいたら後でゼヒその時の体験談を聞かせてほしいものだ。
最近世間では「内定取り消し」のニュースを耳にしますが高額な諸費用を支払うことを条件に決定へとこぎつけるといった仕組みではないかと推測します
もちろん諸費用には大量にまいた通知に関する費用も含まれているものと思われます
多分そうなのでしょう。
日本国内ではなくロスからの国際郵便だったり、封蝋を使ったり、(本文には書きませんでしたが)透かし入りの紙を使っていたり、それなりにコストをかけているようなので、諸費用には当然その分が上乗せされるのでしょうね。
ただこの手紙、SNSやブログを見ると単なる物笑いの種にされてるみたいで、彼らが思惑どおりカネを手にできるかは、少々難しいかと…。
表示されているHPを見に行ったのですが、ひどい体裁でした。
団体の活動実態や過去の受賞者などの情報はまったくないにもかかわらず、『寄付はこちらから』はしっかりあるというのですから、騙しとしても三流といったところでしょう。
このような手口でひっかけられると思っている詐欺師は、権威さえちらつかせれば手紙を受け取った事業者は引っかかる、と思っているということで、人をばかにするにも程度があるのではないか、と人ごとながら思ってしまいます。
もっとも、思惑通り連絡を入れてくれるものが誰もいないであろう詐欺師の様を想像すると、むしろ滑稽なのですが。
>このような手口でひっかけられると思っている詐欺師は、権威さえちらつかせれば手紙を受け取った事業者は引っかかる、と思っているということで(中略)
向こうさんはこっちを値踏みしているつもりなのでしょうが、こっちからも値踏されてるという意識は持ってないみたいですね。
さてさて、向こうさんの思惑に乗って連絡する先生は、果たしているんでありましょうか?