正確な日は覚えていないが、確か震災の少し後だったと思う。突然、背中を押されるように「数学をやらなくちゃ」という強烈な思いが生じた。なぜ急にそんなことを思い始めたのか──?
そういう思いが湧き起こる直接のトリガーとなったのは、本田健さんの「先立つ後悔をしなさい」という言葉を何となく思い出していた時だったと思う。「先立つ後悔をしろ」とは、例えば5年後の自分を想像した時、「あ~っ、5年前に○○をやっとけばよかった!」と思うことを今から始めろ、ということだ。
で、そんなことをボーッと考えていたら、「そういえば、時間があったら数学をやりたいって思ってたなー」ということを思い出した。そして今、有り余るほどの時間があることに気づいた時、自分の中で何かのスイッチが入ったのかもしれない。
以前、リン・ロビンソンと健さんのジョイントによる直観力のセミナーにも出たことがあり、直感には従うことにしている。去年は突然「アロマテラピーのセミナーに出なきゃ」という内なる声に突き動かされるようにセミナーを受けることになった。それまでは「アロマテラピーなんて所詮はただのファッションじゃん」くらいに思っていたというのに。それが結果として左肩の骨折の際に役立ち、今やエッセンシャルオイルはウチの重要な治療アイテムの1つになっている。
しかしアロマテラピーはまだわかるとしても、数学とは…。ただの一時的な気の迷いじゃないのか、ということは、もちろんずいぶん考えた。けれども日が経っても背中を押されるような、突き動かされるような感じは変わらず、もちろんそれができるだけの時間もある。これはどうやら本物らしいと覚悟を決めた。そして、去年の夏に買って読んでみたものの第1章の途中で挫折した、エミール・アルティンの『ガロア理論入門』を最初の1冊に定めた。
とはいえ、何で数学なのか? それだけ時間があるなら基礎医学を改めて勉強し直すとか、セミナーにでも出て新しいテクニックを1つでも多くマスターするべきじゃないのか? そもそも数学なんかやって、この先一体何の意味がある?、という思いは、やはりなかなか消えなかった。そこで数学をやるに当たって理論武装を行うことにした(誰に対して? もちろん自分自身に対してだ)。そこで考えたのは──
自分の治療は(それを最初から意図したわけではなかったが)オーソドックスな解剖・生理をベースにしたものとは違う「非理」の方向に大きくシフトしている。そしてこれからもその方向に更に大きくウィングを伸ばしたい。そこでもう一方のウィングを数学という「理」へと伸ばすことで、自分の中に「理」と「非理」という2つの対極を取り込む。対極を取り込むことによって太極へと至る。
──という言葉遊びのようなものだが、元々自分のためのものだし私自身は気に入っているので、一応これで行こう、と。それとせっかく数学をやるのだから何か目標めいたものがあった方が面白いので、「3年後には世界の数学界に打って出る」というのを目指すことにした(もちろん半分シャレです)。
ふと考えてみると、今年は私が高校を卒業してちょうど30年、そして(1浪しているので)大学の数学科に入って29年になる年だった。あれから30年近く経って、また数学をやることになるのだ。ちょっと感慨深いものがある。ただ今度は指導教官もいない、本だけが頼りの旅になるが。
ところで『ガロア理論入門』を訳したのは寺田文行先生。文行先生は高校時代『数学の鉄則』シリーズでお世話になったが、その文行先生の本と30年後にまたこうしてお世話になるというのも不思議な縁だ。
──とまぁそんなことで再び数学を始めたのだが、3カ月近くが経ち、これが思いのほか治療と結びついていることに気づくことになる。が、そういうことを含めた続きの話はまた後日。
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