深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

バイオダイナミックなクラニオと施術者の意識のあり方 8

2016-02-16 11:14:42 | 一治療家の視点

人間システムに生じる第1次呼吸(primary respiration)メカニズムを構成する要素について、近代クラニオセイクラル・ワークの創始者、ウィリアム・G・サザーランドは次のように規定した。

1.脳脊髄液の固有波動…命の息吹(Breath of Life)のポーテンシーによって駆動される、脳脊髄液に生じる潮流のような運動で、それは吸気相と呼気相と呼ばれる2相で感じられる。
2.脳と脊髄の固有自動性…脳と脊髄に生じる命の息吹のポーテンシーが引き起こす、中枢神経系の中での吸気相と呼気相の2相のリズミックな自動運動。
3.相互張力膜…硬膜系における吸気相と呼気相の2相のリズミックな自動運動。硬膜系は常に相互に張力のかかった一体化した運動機構を持つため、サザーランドは硬膜系を相互張力膜と呼んだ。
4.頭蓋骨接合部の可動性…一般に西洋解剖学では、成人の頭蓋骨は骨同士が融合していて動くことはない、と教えられるが、実際には縫合とは頭蓋における骨の関節であり、それぞれの骨が固有のリズミックな動き(第1次呼吸の2相による自動性)と、骨同士の位置関係による可動性を持っている。
5.仙骨の不随意運動…骨盤を構成する重要なユニットである仙骨には硬膜がしっかりと付着しているため、第1次呼吸メカニズムの下方の極として、不随意的で固有のリズミックな自動性と可動性を持っている。


なので、一般にクラニオというとこれらを調整することだと考えられている。

確かに、クラニオはこれらを調整する、ということは間違っていはいないが、それが本当にクラニオというメソッドの全体像なのだろうか?

最近になって思うのは、クラニオとは広い意味の身体情報の解析/解釈メソッドではないか、ということだ。

バイオダイナミックなクラニオの施術の中で患者の体にホールドしていると、患者の身体空間からやって来る情報は、そうしたサザーランドの言う第1次呼吸メカニズムはもちろん、西洋医学的な解剖・生理学的情報にとどまらない、膨大で広大なものであることがわかる。そもそも身体空間からやって来るからといって、その情報が単純に肉体の状態──それも西洋医学的な機序に基づいた──を表しているなどと考えなければならない理由があるだろうか?

そこで私が今試みていて、セミナーでも行なっているのが、患者の身体空間からやって来るそうした情報を解剖・生理学的な機序とは違う切り口で抽出し、それを解析/解釈する方法である。そうすることによって、脳脊髄液がどうしたとか縫合が圧縮してるとかしてないとかいった切り口からの身体情報の解析/解釈では捉えることのできない問題を抽出し、それを処理することができる。

それをそのままクラニオセイクラル・ワーク(頭蓋仙骨療法)と呼んでいいのかどうかわからないが、私にはクラニオとは

「頭蓋や仙骨にホールドして患者の身体空間からやって来る情報を受け取り、それをさまざまな角度から解析/解釈するメソッド」

になりつつある。

ところで、その「さまざまな角度」とは具体的にどういうもの?と思われる方もいるだろうから、それについても少し述べると、例えば相対論的な時空間概念に基づいて身体情報を解析/解釈する、といったことだ。それによって肉体の解剖・生理をノッペリとした素朴な空間イメージに当てはめたのでは捉えられないものが見えてくる(この「見えてくる」というのはあくまで比喩的な表現であって、必ずしも視覚的に捉えられるという意味ではないが)。

前のセミナーではそんなことをやったので、その時の動画の一部をご参考までに。


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