う~ん、何がしたいのかサッパリわからん…(-_-;;
週十何本もアニメを見ているとそういうのも少なからずあって、大抵は1,2話で切ってしまうのだが、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』は全13話を最後まで見た。だって『まど☆マギ』が大好きだったから。けれども見終わって思ったのは
う~ん、何がしたかったのかサッパリわからんかった…(+_+;;
ということだけだった。アニメ『マギアレコード』は元々ソーシャルゲームが原作で、今回も「ソシャゲ原作のアニメは失敗する」というジンクスを証明しただけになってしまったな、と。
以下、『マギアレコード』(1期?)のネタバレなしでは何も書けないので、ネタバレがイヤな人はここまで。でも、せっかくだからPVくらいは見ていって。
魔法少女になるには、何か願いを1つかなえてもらうことを代償にキュウべえと契約しなければならない。けれど環(たまき)いろはは、自分が何を願ったのかが思い出せない(キュウべえに聞いても「わからない」という)。けれどもある日、いろはは自分には双子の妹、ういがいて、自分の願いもそのういに関係したことだったと気づく(あるいは思い込む)。
そんな折、彼女は「神浜(かみはま)市に行けば、魔法少女は救われる」という噂を耳にする。噂に引き寄せられるように神浜に向かういろはだが、途中、強力な魔女に襲われる。そこに突然現れた小さいキュウべえのお陰で変身するも、自力では魔女に歯が立たない彼女を救ったのは、神浜の魔法少女、七海やちよだった。そして、やちよはたまきに「ここは神浜の魔法少女のテリトリーで、他の場所の魔法少女が勝手に入ることは敵対行為になる。今すぐここから立ち去りなさい」と言い放つ。
その言葉に一旦は神浜を去るいろはだったが、ういが神浜にいると感じ、再び神浜へ。その神浜市には、階段に名前を書いた相手と絶交できるという「絶交階段」の噂や、飲むと幸運を得られるという「フクロウ幸運水」の噂など、さまざまな奇妙な噂が飛び交っていて、そうした噂を追いながら、いろははやちよを含めた神浜の魔法少女たちと知り合い、親しくなっていく。また、いろは自身にも、魔女との闘いで濁りきってしまったソウルジェムがグリーフシードなしに浄化する、といったことが起こる。
そんないろは達の前に「マギウスの翼」と名乗るグループが現れ、しきりに彼女たちに入会を勧める。しかもマギウスの翼には、やちよのかつての親友、みふゆもいた。だが「ひとりぼっちの最果て」の噂に関わる中で、いろはたちはマギウスの翼が噂を利用して魔女を飼っていることを知る。そして、ういの消息を追ういろは、ういの友達だという里見灯花と出会うが、実は彼女こそマギウスであり、いろは達は灯花から魔法少女の真実を聞かされることになる(ここでいう「魔法少女の真実」とは、『まど☆マギ』でほむらから明かされたことと同じ)。そして神浜市に流れる数々の噂は、キュウべえの作ったシステムから魔法少女を救うために感情エネルギーを収集する仕組みだった、と。マギウスが作ったドッペルというシステムの正体とは? そしてマギウスがやろうとしていることは何か?
…と、こう粗筋を書いてみると何となくさまなってに見えるが、実際には『マギアレコード』は話がとっ散らかっていて一体何が物語の本筋なのかわからない上に、出てくる噂や謎にしてもスッキリ解決しないままうやむやにされてしまうため、とにかく見ていてフラストレーションが溜まる。『まど☆マギ』からも巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子の3人が登場するが、『まど☆マギ』との関連もよくわからない。(『マギアレコード』は『まど☆マギ』の前日談でも後日談でもなく「外伝」だから、本編の設定をそのまま受け継ぐ必要はないんだよ、というのが制作陣の考えなのだろうか?)
制作は『まど☆マギ』と同じシャフトで、キャラデザも蒼樹うめなので、ビジュアル面では『まど☆マギ』の世界観との乖離はないし、ハッとするほどいいセリフも出てくるし、バトルシーンも迫力がある(特に13話のマミ、さやか、やちよが入り乱れてのバトルシーンは、『まど☆マギ』の続編である「叛逆の物語」でのマミvsほむらのバトルシーンを彷彿とさせる出色の出来だった)。多分、部分部分を切り出して見る限り、『マギアレコード』はとてもいい作品“に見える”と思う。ただ、いかんせん肝心の物語が整理されておらず、混乱しまくっていた。
ネットのコメントなどを見ると、どうやら1期で13話かけて積み上げた謎が2期で一気に解決するらしいのだが、みんな2期を見たいと思うのだろうか? 物語に解かれないままの謎があるのはいい。ただ、それを少しずつでもキチンと解決していってみせないと、見ている側が物語に対する信頼を失ってしまう。例えば『進撃の巨人』も謎また謎の物語だが、『進撃』は1つの謎が解かれたその先に新たな謎がある、という構造になっているので、読者/視聴者は「この物語は謎を放りっぱなしにしない」という信頼感を持ってついていくことができるのだ(逆に『エヴァ』は(制作の失敗から)謎を謎のまま放り出してしまったものの、それがかえって受けてレジェンドになってしまったわけで、あれは幸運な例外と言うべきだろう)。
なお、他の人は注目しない(多分)ところで『マギアレコード』で個人的に面白かったのは、「フクロウ幸運水」の部分。あの幸運水の売り口上がえらく達者で、どんな声優たちがやってるんだろうとエンドロールを見たら、何とJ・A・シーザー協力で演劇実験室◎万有引力じゃないか! なるほど、万有引力の役者陣ならあの口上の見事さもわかる(シーザーは他のシーンでも空間設計に協力しているようだ)。
シャフトに関して言えば、『まど☆マギ』は大好きだし〈物語〉シリーズも欠かさず見てきたが、ここ数年気になることがある。
最初にそれを感じたのは〈物語〉シリーズ劇場版『傷物語』3部作を見たことだ。元々シャフトは『傷物語』を1本の劇場版として作ることを告知していたが、それがいつまでたっても公開されないまま数年が過ぎ、このままうやむやになるのかと思っていたら、3部作での公開だった。で、バカ正直にもその3本を劇場で見たのだが、原作自体それほど分量がないのに無理矢理3部作にしてしまったもんだから、間延びしていてとても見られたモンじゃなかった。確かに劇場版だけあってキャラクタの動きは非常にキレイだったが、そもそも〈物語〉シリーズは極端なことを言えば「紙芝居」でいいのであって、そんな「動きの滑らかさ」なんて誰も期待してない。そもそも、あんな薄い原作をどうして3部作などにしたのかといえば、「当初の予定より完成が大幅に伸びてしまい、その間の分を含めて、より稼がなければならなくなったから」だろう。しかし、その結果がアレじゃあ…。
そして、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』。フジテレビのオムニバスドラマ『if もしも』の中の1本(監督は岩井俊二)をシャフトが劇場アニメとしてリメイクした作品で、『君の名は。』の1年後に公開された。やはりタイムリープを扱っていたこともあって、「ポスト『君の名は。』」と前評判は異様に高かったのだが、いざ蓋を開けてみるとこれがまた…。劇場で見たけれど、正直、見ているのが辛かった(原作で小学生という設定だった主人公をアニメでは高校生に変えてしまったことで、物語に無理が出たのかもしれない)。結局、「ポスト『君の名は。』」どころか、ほとんど話題にもならなかった。
それから、ご存じ(?)〈Fate〉シリーズの1つとしてシャフトが手がけた『Fate/Extra Last Encore』だ。ゲーム原作のアニメで全2期として制作され、画面もキレイだしバトルシーンにもそれなりに見るものはあったけれど、やはり物語として整理されておらず、お世辞にも良くできた作品とは言えなかった。〈Fate〉シリーズでは、A-1 Picturesが制作した『Fate/Apocripha』もかなり酷評されたが、私は物語の完成度という点で、まだ『Fate/Apocripha』の方が出来がよかったと思う。
…というわけで、どうもシャフトは何かが上手く噛み合っていない印象を受ける。もちろん『3月のライオン』のように「シャフトには合わない」という前評判を完全に覆した作品もあるので、全てが失敗作だったわけではないが、仮に『マギアレコード』の2期が本当にあるとしても、シャフトがこの混乱した物語をキチンと着地させられるのかどうか、とても不安でならない(私としては、「シャフト様、あの時はあんなこと書いてしまって申し訳ありませんでした」と言えるようなものであってほしいと思うのだが)。
最後に2期のPVとして公開されているものを。
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