成功する治療院になるための経営指南をうたうメルマガには、こんなふうに書かれていた。「治る人だけ治す」と。そして、こんなふうに本文が続く。
治療院の中には難病を専門に治療を行っている人もいます。 しかし治療院経営の観点からすると、治りそうな人だけを治療していると、治癒率が上がり評判が良くなり、口コミが広がりやすくなります。…
このメルマガを発行している人は、自身も治療院を経営する治療家だが、4年くらい前に治療院経営に関する小冊子を出した(と言っても、書店には出しておらず、発行したその人に直接請求しないと入手できない)のを皮切りに、「一人でやって週休三日で、年間売り上げ1000万」を売りに、治療家や治療院の経営者を対象としたコンサルティングやセミナーなどを行っている…らしいが、私は直接、それを受けたことも参加したこともないので、よくわからない。3年くらい前に「成功する治療院になりたければ、会員になりなさい」という内容のFAXが来て興味を持ち、ウチでは無料のメルマガをだけを取っている。
内容は、よくある成功法を治療院向けに焼き直したもので、特に「これは凄い」といったものはないのだが、読んでいて面白かったものをいくつか挙げてみると…
ささやきで治す:
患者さんは自分の体に対して不安感を持っています。その不安感を更に大きくするのは簡単です。ボソッと耳元で「だめだな」とささやけばいいのです。逆に不安感を安心感に変える事も簡単です。耳元でかすかに聞こえるような声で「よしっ良くなった」とささやけばいいのです。
圧倒的な主従関係をつくる:
城主が家臣に頭を下げていたら周りから尊敬されません。治療家と患者さんの関係は治療院内においては平等ではありません。敷居を低くするとありがたみが無くなります。優秀な治療家ほど相手に気付かれずに圧倒的な上下関係を短時間に作ります。
…もちろん、こんな内容ばかりではないのだが、送られてくるメルマガを読んでいくと、この先生の治療家、治療院経営者としてのポリシーのようなものが透けて見えてくる。例えば…
「まだここが痛い」なんて言わせてはいけない。わざと言わせることはあっても、ウダウダ「まだここが」を言う患者さんは私の治療院にはいない。なぜなら「言わせない」オーラをしっかり作っているから。言われる人は「言ってもいいや」オーラを発しているからです。言われるのは治療家側の責任です。
でも、この先生、確かに私なんか問題にならないくらい稼いでいるだろうけど、治療家としては幸せなんだろうか? あなたは楽勝で治せそうだからウェルカム、あなたは難しそうなので他へどうぞ…そんな形で「ウチはダントツの治療院です。治癒率100%です」と宣伝してまわる…それは経営--カネを稼ぐ--という意味では至極当然のことで、反論の余地はないのだが、例えば自分の治療院がそういうふうに方向転換することを想像した時、心の中にゾワゾワとイヤ~な感じが広がるのはなぜだろう?
そんなことを考えていた時、ふと東横インの事件を思い出した。東横インは、身障者用の設備を審査が通った後で撤去して、ロビーや通常の客室に改造していたのだった。それが発覚した最初の記者会見で、社長は「身障者用の設備を作っても、実際には年一人か二人くらいしか泊まりに来ない上に、普通の客には使い勝手が悪い」と語っていた。経営効率を考えれば、使用頻度の低い設備をなくして、仮に一部の客を切り捨てても、他の客の受け入れを増やすことで売り上げアップを図る、というのは、経営判断としては決して間違っていない。それが今回は、たまたま条例に違反していただけだ。しかし、法律違反かそうでないかウンヌンとは別に、経営判断として正しければ、それでいいのか、という疑問は残る。
正直なところ、私だって大儲けできる「成功する治療家」にはなりたいが、それ以上に「幸せな治療家」でいたいと思う。そんなことを言うと、その「成功した治療家」からは「幸せだとか、幸せでないとか、そんなことを考えているから、お前のところは儲からないんだよ」と、逆にメチャクチャ叩かれそうだが…
治療院の中には難病を専門に治療を行っている人もいます。 しかし治療院経営の観点からすると、治りそうな人だけを治療していると、治癒率が上がり評判が良くなり、口コミが広がりやすくなります。…
このメルマガを発行している人は、自身も治療院を経営する治療家だが、4年くらい前に治療院経営に関する小冊子を出した(と言っても、書店には出しておらず、発行したその人に直接請求しないと入手できない)のを皮切りに、「一人でやって週休三日で、年間売り上げ1000万」を売りに、治療家や治療院の経営者を対象としたコンサルティングやセミナーなどを行っている…らしいが、私は直接、それを受けたことも参加したこともないので、よくわからない。3年くらい前に「成功する治療院になりたければ、会員になりなさい」という内容のFAXが来て興味を持ち、ウチでは無料のメルマガをだけを取っている。
内容は、よくある成功法を治療院向けに焼き直したもので、特に「これは凄い」といったものはないのだが、読んでいて面白かったものをいくつか挙げてみると…
ささやきで治す:
患者さんは自分の体に対して不安感を持っています。その不安感を更に大きくするのは簡単です。ボソッと耳元で「だめだな」とささやけばいいのです。逆に不安感を安心感に変える事も簡単です。耳元でかすかに聞こえるような声で「よしっ良くなった」とささやけばいいのです。
圧倒的な主従関係をつくる:
城主が家臣に頭を下げていたら周りから尊敬されません。治療家と患者さんの関係は治療院内においては平等ではありません。敷居を低くするとありがたみが無くなります。優秀な治療家ほど相手に気付かれずに圧倒的な上下関係を短時間に作ります。
…もちろん、こんな内容ばかりではないのだが、送られてくるメルマガを読んでいくと、この先生の治療家、治療院経営者としてのポリシーのようなものが透けて見えてくる。例えば…
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でも、この先生、確かに私なんか問題にならないくらい稼いでいるだろうけど、治療家としては幸せなんだろうか? あなたは楽勝で治せそうだからウェルカム、あなたは難しそうなので他へどうぞ…そんな形で「ウチはダントツの治療院です。治癒率100%です」と宣伝してまわる…それは経営--カネを稼ぐ--という意味では至極当然のことで、反論の余地はないのだが、例えば自分の治療院がそういうふうに方向転換することを想像した時、心の中にゾワゾワとイヤ~な感じが広がるのはなぜだろう?
そんなことを考えていた時、ふと東横インの事件を思い出した。東横インは、身障者用の設備を審査が通った後で撤去して、ロビーや通常の客室に改造していたのだった。それが発覚した最初の記者会見で、社長は「身障者用の設備を作っても、実際には年一人か二人くらいしか泊まりに来ない上に、普通の客には使い勝手が悪い」と語っていた。経営効率を考えれば、使用頻度の低い設備をなくして、仮に一部の客を切り捨てても、他の客の受け入れを増やすことで売り上げアップを図る、というのは、経営判断としては決して間違っていない。それが今回は、たまたま条例に違反していただけだ。しかし、法律違反かそうでないかウンヌンとは別に、経営判断として正しければ、それでいいのか、という疑問は残る。
正直なところ、私だって大儲けできる「成功する治療家」にはなりたいが、それ以上に「幸せな治療家」でいたいと思う。そんなことを言うと、その「成功した治療家」からは「幸せだとか、幸せでないとか、そんなことを考えているから、お前のところは儲からないんだよ」と、逆にメチャクチャ叩かれそうだが…
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