深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

鍼灸マッサージ師の憂鬱

2005-12-02 13:04:07 | 業界のウラ事情
テレビや新聞などで、カイロプラクティックやリフレクソロジー、アロマテラピーなどの番組や記事が出るたびに、ザワザワとし始める輩がいる。「非合法の治療を肯定的に取り上げている」「法律を知らないのか」「そもそも無資格の人間が治療行為をするのは危険なのだ」「許せん」「マスコミに抗議のメールを送ろう」…”われこそは国家資格を有する、真の治療家なり。業界の秩序を守るために立ち上がらん”ということなのかもしれないが、もうウンザリ

確かに、医業類似行為を巡っては、「あんま指圧マッサージ・はり・きゅう師法(あ・は・き師法)」と「柔道整復師法」では、あんま指圧マッサージ師、はり師、きゅう師、柔道整復師の国家資格を有する者のみが、それを行えるとする一方で、それ以外の施術行為に対しても、1960年(昭和35年)には、憲法第22条「職業選択の自由」に基づき「有害の虞(おそ)れのない医業類似行為(療術行為)は禁止、処罰の対象とならない」とする最高裁判決が出ている。つまり、相互に矛盾する法の下で、その時々の行政の都合で、取り締まりがきつくなったりゆるんだり、という何となく玉虫色の状態にある。

鍼灸マッサージ師の連中は「あ・は・き師法」は知っていても、その最高裁判決は知らない/知っていても無視している/知らないふりをしているため、自分たちと競合する(とマッサージ師が思っている)カイロプラクティックやリフレクソロジー、アロマテラピーなどを、「非合法だ」「法律違反だ」と騒ぎ立てるが、その最高裁判決がある限り、それらは法的にきちんと認められ、位置づけられたわけではないので「合法」ではないが、決して「非合法」でも「法律違反」でもないのである。フクザツやねぇ~(^_^;;

そもそも、鍼灸マッサージ師には、同じ国家資格でありながら柔道整復師のように簡単に保険診療できない(注:鍼灸マッサージ治療を保険で受けるには、単に保険証を持っていくだけじゃダメで、医師の指示が必要。でも、ウチは保険診療はやってないので、仮に医師の指示書を持ってこられても困るンだけど)、というコンプレックスと、公的な資格ではないカイロプラクティックやリフレクソロジー、アロマテラピーなどに自分たちのテリトリーが浸食されている、という焦りがある。

しかし、これって矛盾してない? だって、保険が接骨院・整骨院並に簡単に使えるようになれば、あいつら(=柔道整復師)には負けない、と言っていながら、そもそも保険なんて全く使えないカイロプラクティックなんかに押されてしまっているのだから。ところが言っていることは「鍼灸マッサージの保険診療の条件を緩和せず、その上、無資格の治療をのさばらせている国が悪い」「行政が悪い」「無資格の治療を持ち上げるマスコミが悪い」「業団体は一体何やってる?」…何の経営努力もせず、問題は全て外部にあるなんて言ってたら、そりゃあ衰退するわなぁ。マスコミに抗議のメールなんか出してるヒマがあったら、他にできることはいくらでもあるはずなのに…

それとも、自分たちは日本の医療界(と言うか、医業類似行為界(笑))を守る、正義の味方のつもりなのだろうか? それなら、もっと徹底的に勉強して技術も高め、患者に「いや~、さすがは国家資格を取っただけのことはあるね。無資格のカイロなんかとは治療のレベルが全然違うよ」と言わせなければ。そうでなかったら、「無資格の治療はウンヌン」なんて言えないでしょ。言ったとしたって、説得力ないし。

図らずも、建設業界の構造設計偽造事件で、国家資格などというものの威光も大きく陰りつつある。何てったって、姉歯建築士は天下の1級建築士、イーホームズは国の指定検査機関だったのだから。これからは益々、みんなの選別する目が厳しくなるだろう。鍼灸マッサージ師の免許証を額に入れて飾ってたって、そんなもの誰も重きを置かない。…ってことが、彼らにはわからないんだろうな、やっぱり。
コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ワケあって安い | トップ | 「下流」でGO! »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (a10)
2005-12-19 14:39:50
そのとおりですね

どの業界にも

免許に胡坐をかいてるだけで

己の実力を高めようとする気概が無いやからが多いですね



新人からベテランまで全て横並びの評価ではなく

良い技術には正しい評価がなされる世の中になって欲しいものです
返信する
はじめまして。 (すんきち)
2006-03-22 04:01:07
アロマテラピーをやってるので、この記事には目からうろこでした。こんな事を言うのもなんですが、すごく嬉しいです。

もちろん、アロマテラピーもただの民間資格で終わって欲しくはないのですが、国家資格になったらそれで良いとは思ってません。施術をする側の気持ちが伴わなければ、する意味はなくなると思います。



少しでも多くの人に分かって貰いたくても、ウソは良くないと思って医療ではないとか、あはき法があってそれと違うものだと説明すると、「じゃあ、信用がないものなんだ?」と言われたり

自作の化粧品や石鹸を作ってる趣味の範囲に対しても

違法してるんじゃないの?とか(薬事法の事でしょうか?)

韓国式マッサージの人にまで「あの、気持ち良いだけの効かないやつね」と言われて

正直落ち込んでたので(個人的な話ですみません)

かばってもらってるのとは違うと思いますが

糾弾しない姿勢だけでも、とても有り難く感じてしまいました。



それとは関係なくお勉強になる事が書かれてると思ったので、また見に来させて頂きます。

長々と失礼致しましたm(__)m
返信する
コメントありがとうございます。 (sokyudo)
2006-03-31 15:47:31
医療類似行為の国家資格のあり方、というものも、もっと議論されなければならない時期に来ている、と思います。国家資格化されているのが、マッサージ、はり、きゅう、柔道整復だけでいいのか。更には、その4つは本当に国家資格としてふさわしいと言えるのか、ということも含めて。



しかし、もし後者が議論に登るようなことになったら、鍼灸マッサージや柔整の資格者や業団体が、それこそヒステリックにギャーギャー騒いで、大事になるだろうな。それはそれで面白そうではあるけれど。
返信する
Unknown (ファン)
2013-03-08 12:13:17
素晴らしい考え方でしょう

技術、人間性の向上を図るならば無資格等に国家資格
マッサージ師が負けるはずはない

マッサージファンとしてはエールを送る
返信する
コメントありがとうございます (sokyudo)
2013-03-09 10:51:41
>ファンさん

コメントいただき、ありがとうございます。
ずいぶん前に書いた記事ですが、もちろん業界の状況は全くといっていいほど変わっていません。治療業界の有資格者対無資格者の問題は、この先も延々と続くものと思われます。
が、有資格者であれ無資格者であれ、結局「生き残る者は生き残るべくして生き残る」のではないでしょうか。
返信する

コメントを投稿

業界のウラ事情」カテゴリの最新記事