いまにして思へば、私の青春時代は千葉高山岳部から始まつた。
仲間たちとちからをあはせて目標を達成することの難しさ、樂しさを知つたのは山岳部のお蔭だと思つてゐる。
そのOB總會の葉書が屆いたのは10月だつた。
例年はどうせいけないと決め込んでゐたのだけれど、今年はなぜか無性に行きたくなつた。
私たちの時代に顧問をしてくれてゐた先生にお目にかかりたいといふこともあつた。
10月末までに返事をせよとあつたので、ぎりぎりになつて出席の返事を書いて投函した。
當日がきて、ふと思つた。
もしかしたら私の知つてゐる人がひとりもゐないのではないか?
なにせ創部以來、ゆうに50年を數へるクラブである。
私の知つてゐる世代といへば、私の前後それぞれ5年が精々だから、あはせて10年間。
とても不安になつたのであつた。
會場に入る。
既に會計報告が始まつてゐた。
受付を濟まして6つほどある圓卓を見廻す。
知つた顏が見つからない。
どのテーブルに坐らうか。
とりあへず空いてゐる席の多い、端にはうのテーブルについた。
なほも周圍を見廻してゐたら、遲れて入つて來た人がゐた。
やつた、私の3つ上のOBが來た!
「クマさん、クマさん、こっち、こっち!」
聲をかけたら怪訝さうな顏。
それはさうだらう、私はといへばスキンヘッド。
私を認めて貰ふまでに少し時間がかかつたけれど、お蔭で寂しい思ひをせずに濟みさうだ。
その後、さらに私の5年上のOBのかたがたを發見。
さらには、私が3年の時から顧問をして下さつた先生にもお目にかかつた。
7年下の後輩からも聲をかけられた。
一緒に山に登つたことはないが、どうやら彼が現役の時に、私と私の同期のやつが現役を誘つてビアガーデンで食事をしたことがあつたらしい。
さういはれてみれば、彼の顏には見覺えがある。
と云つても20數年も前のこと、彼ももう40代に足を踏み入れてゐる筈だ。
千葉高山岳部。
私が所屬してゐたのはわづかに3年間。
私にとつて充實した3年間だつたけれど、山岳部にとつて、それは一瞬のこと。
私の前に多くの人がをり、私の後に多くの人がゐる。
まるで瀧のやうだな、と私は思ふ。
瀧はそこにある。
しかし、その瀧を構成する水は流れ續けて留まることがない。
願はくは、その水の絶えぬことを!
そして、いつまでも、そこに瀧の在り續けんことを!
仲間たちとちからをあはせて目標を達成することの難しさ、樂しさを知つたのは山岳部のお蔭だと思つてゐる。
そのOB總會の葉書が屆いたのは10月だつた。
例年はどうせいけないと決め込んでゐたのだけれど、今年はなぜか無性に行きたくなつた。
私たちの時代に顧問をしてくれてゐた先生にお目にかかりたいといふこともあつた。
10月末までに返事をせよとあつたので、ぎりぎりになつて出席の返事を書いて投函した。
當日がきて、ふと思つた。
もしかしたら私の知つてゐる人がひとりもゐないのではないか?
なにせ創部以來、ゆうに50年を數へるクラブである。
私の知つてゐる世代といへば、私の前後それぞれ5年が精々だから、あはせて10年間。
とても不安になつたのであつた。
會場に入る。
既に會計報告が始まつてゐた。
受付を濟まして6つほどある圓卓を見廻す。
知つた顏が見つからない。
どのテーブルに坐らうか。
とりあへず空いてゐる席の多い、端にはうのテーブルについた。
なほも周圍を見廻してゐたら、遲れて入つて來た人がゐた。
やつた、私の3つ上のOBが來た!
「クマさん、クマさん、こっち、こっち!」
聲をかけたら怪訝さうな顏。
それはさうだらう、私はといへばスキンヘッド。
私を認めて貰ふまでに少し時間がかかつたけれど、お蔭で寂しい思ひをせずに濟みさうだ。
その後、さらに私の5年上のOBのかたがたを發見。
さらには、私が3年の時から顧問をして下さつた先生にもお目にかかつた。
7年下の後輩からも聲をかけられた。
一緒に山に登つたことはないが、どうやら彼が現役の時に、私と私の同期のやつが現役を誘つてビアガーデンで食事をしたことがあつたらしい。
さういはれてみれば、彼の顏には見覺えがある。
と云つても20數年も前のこと、彼ももう40代に足を踏み入れてゐる筈だ。
千葉高山岳部。
私が所屬してゐたのはわづかに3年間。
私にとつて充實した3年間だつたけれど、山岳部にとつて、それは一瞬のこと。
私の前に多くの人がをり、私の後に多くの人がゐる。
まるで瀧のやうだな、と私は思ふ。
瀧はそこにある。
しかし、その瀧を構成する水は流れ續けて留まることがない。
願はくは、その水の絶えぬことを!
そして、いつまでも、そこに瀧の在り續けんことを!