【昔の手帳から】 ７月２０日 （83年：ピカソ展～銀閣寺）

【１９７９年】（浪人）

CHSAC Meeting
なんと！、櫻井先生がギックリ腰！！！


金曜日。
浪人中のくせに、Ｃ高山岳部の夏山合宿に參加する。
直前のミーティングのためにＣ高に出かけたら、そこでとんでもないことを聞かされた。
なんと、顧問の櫻井先生がギックリ腰になつて參加出來ないといふのだ。
これは正直云つて、かなりショッキングだつた。
何故なら、今囘の合宿は技術的にも困難が伴ふ計畫で、私には計畫を遂行できる氣がしなかつたのである。
私以外に、經驗豐富なＯＢが一人同行することになつたので、ＯＢとしての責務は果たせさうだつたが、精神的支柱を失つた思ひがして不安になつた。



【１９８０年】（１囘生）

CHSAC 出發。 20:00 船橋驛 例の所
船橋驛で偶然、ナガイに遇ふ。トムラにも遇つた。


日曜日。
Ｃ高山岳部が夏山合宿に出發するので、差入れを持つて見送りに行つた。
本來なら私も參加する筈だつたのだが、自主トレ中にヒザを痛めて行けなくなつてしまつた。
せめて差入れでも、と思つたのだつた。
差入れと云へば、無茶をするＯＢもゐた。
私が高３の時など、大きなスイカを持つて來たＯＢがゐた。
山登りといふものは、出來るだけ荷物を減らして輕くするのが常識で、ＯＢだつてそんなことは百も承知。
いや、それだからこそ、スイカのやうな重くてしかもパッキングが難しいものを持つて來たに違ひないのだ。
しかも彼は云つた。
「絶對に１泊以上してから喰へよ！」
つまり、山に向ふ電車の中や、バスの待ち時間や、登山口などで食べるな、と嚴命してゐるのだ。
もはや、限りなくいぢめに近い。
ちなみに私は果物の罐詰を持つていつた。
これは多少重たいが、パッキングしやすいので、いぢめにはならない。

ナガイとトムラに遇つたとあるが、人物を特定できない。
ナガイは高校の同級生に２人ゐたし、トムラは中學と高校に同級生がゐる。
３０年もたつと、どちらに遇つたのか、まるで思ひ出せない。



【１９８１年】（２囘生）

ミヤシタ ラリー手傳ひ


月曜日。
ミヤシタは高校の同級生で、私より１年早く大學に入つてゐた。
彼は、高校でも大學でも自動車部だつた。
なんでも眞夜中に山の中でラリーをするとのことで、ナビゲーターをしてくれと云はれた。
そんなことはしたことがなかつたし、まともに出來るとも思へなかつたのだが、それでもいいからと頼まれた。
助手席で時計を睨みながら、何分經過したとか、あと何分だとか云つてゐた。
謝禮として、輸入もののウヰスキーを貰つたやうな氣がする。



【１９８３年】（４囘生）

11:00 四條河原町 阪急前 Ｈ
ピカソ展～銀閣寺～下宿
（ちよつと悔いが・・・）


水曜日。
Ｈとデート。
前年１０月から數へて１０囘目。
１ヵ月以上も間があいてしまつたので、その間、彼女の氣持ちがわからなくなつて不安だつた。
この日は、私も彼女も２度目だつたが、一緒に「ピカソ展」へ行つた。
同じものを見て同じやうに感動したかつたのだ。
しかし、これは成功したとは云へなかつた。
何故なら、人は壓倒的な存在の前では寡默になる。
繪を味はふペースも違ふし、立ち止まる繪も違ふ。
ピカソと自分との關係の中に、例へ愛する者とはいへ、他者の入り込む餘地はなかつたのだ。
ただでさへ口數の多くない私がさらに喋らなくなるのだから、彼女にとつて居心地が惡かつただらうことは想像できる。
「ピカソ展」を見てから銀閣寺へ。
Ｈと銀閣寺に行つたのは覺えてゐるが、それがこの時だつたとは記憶にない。
ピカソはピカソ、銀閣寺は銀閣寺、それぞれ別の時に行つたのだと思つてゐた。
銀閣寺は靜まりかへつてゐた印象がある。
もちろん、實際にはそんなことはなかつたのだらうが、２人だけで銀閣寺に佇んでゐたやうな印象。
あそこはいつもそんな感じがする。
銀閣寺から私のアパートへ。
Ｈが私のアパートに來たのはこれが初めてだつた。
Ｈが來てくれるかどうかわからなかつたが、その時に備へて、汚い部屋を出來るだけ片付け、カーペットの毛足の間のゴミを手でかき集め、汚い廊下を掃除しておいた。
ああ、男子學生の涙ぐましい努力を見よ！
そんなに頑張つたのに何も出來なかつた小心者の男子學生が不憫でならぬ。
悔いが殘つたとしても、それは仕方なからう。

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＜１９８２年＞
１０月９日：京都。飮む
１２月１０日：シンフォニーホール。ヘンデルのメサイヤ
１２月２４日：梅田。クリスマスイヴ。
＜１９８３年＞
２月１８日：花房晴美リサイタル。ベートーヴェン：ピアノソナタ第３２番ほか。
５月１４日：京都。「楢山節考」。
５月２６日：大阪城など。（秋田沖地震）
６月２日：みゅーず → 圓山公園 → 枚方。 　
６月１１日：「細雪」 → 須磨海岸。
６月１７日：藤原眞理のチェロ。