點滴３＆４

月曜日に１囘目、火曜日に２囘目。
年内の仕事が木曜日に終はり、きのふ３囘目の點滴。
けふで年内の診察が終はつてしまふため、８時半に病院へ行つた。
皮膚科はきのふで終はりだつたので、ご主人の耳鼻科の先生が診察してくれた。
（こちらはご夫妻で耳鼻科と皮膚科をされてゐるのだ）

先生：「で、樣子はどう？」
私：「左の腋の下のはうはお蔭樣で痛くなくなつてきたんですけど、今度は右の腰のところに出來てしまつて・・・」
先生、患部を一目見るなり、
「ああ、膿がたまつてるなあ。注射器で拔いてしまはうか」

パンツのゴムがさはるだけでも痛いおできである。
その熱をもつた頂上に注射器の針が刺さる。
それだけでも、たいがい痛い。
でも、ほんたうの痛さはその次だ。
腰の背中側なので私には見えないのだが、先生がしてゐることは手にとるやうに判る。
注射器のピストンが引上げられるやいなや激痛が走つた。
ずるずると音が聞えてきさうな苦痛。
赤黒い血膿と黄色い膿が混ざり合ひながら吸ひ取られてゆく感觸。
頭の中は激痛で眞つ白になつた。
「はい、こんなに出たよ」と先生。
見せんでいい！

結局、抗生物質の注射で濟むかと思つてゐたけれど、４囘目の點滴となつた。
いつもの看護婦さんはけふからお休みらしく、先生が自ら點滴をしてくれた。
實は私の母が永年看護婦をしてゐた關係で、醫者といふものは注射が下手だといふ事實を、私は知つてしまつてゐる。
先生が點滴の針を刺すと知つて、内心、恐怖にをののいたことはいふまでもない・・・

ところが、この耳鼻科の先生、じつに注射がお上手なのであつた。
針が刺さるところを見る勇氣がなかつたのだが、チクりとしただけで見事に靜脈に針を滑りこませてくれた。
ああ、よかつた。
こんなことなら、２囘目の點滴の時に失敗した、あのベテラン看護婦さんぢやなくて、いつも先生がしてくれたらいいのに。

點滴がちやうど１時間かかつて、歸宅したのは１０時半。
これから年賀状にコメントを書く氣力もなく、生まれて初めて、手書きコメントなしの年賀状を投函する。
そもそも、こんな遲くに年賀状を投函するのが生まれて初めてだ。
忙しいといふことは、人から餘裕を奪つてしまふのだなあ。
來年はもう少し、人としての餘裕をもつて仕事ができるやうにしたいものだ。