仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

読書録 2023年12月前半

2023-12-16 07:23:00 | 読書録(備忘)

12月2日
蓮丈那智フィールドファイルⅣ
『邪馬台』北森鴻 2011年
初読。
シリーズ初の長編作品。
北森鴻は2010年1月に逝去。未完の遺作を婚約者である浅野里沙子が完成させたとのこと。
死の前年2009年5月に国立歴史民俗博物館の研究グループがC14年代測定法により、箸墓の築造年代を240年から260年とする発表を行なっている。しかもそのグループの責任者である教授が、これで卑弥呼の墓は箸墓に決まった旨を発言した。
どうもこの一件がこの作品の執筆に繋がったように思われる。
主人公は異端の民俗学者・蓮丈那智とその助手・内藤三國。
蓮丈那智が邪馬台国に着手する。
廃村に至るプログラム、遺伝子という三國の着想。廃村のDNA。
廃村となった阿久仁村に残された「阿久仁村遺聞」の謎。
冬狐堂・宇佐見陶子が那智の味方をするが、雅蘭堂・越名集治はなぜか邪魔をする。どうやら越名は誰かに嵌められたらしい。後催眠。
古代から南北朝、近代をつなぐ謎を解く鍵は「阿久仁村遺聞」。
最後に明かされる卑弥呼と応神天皇に関する仮説には正直云ってついていけない。

12月8日
蓮丈那智フィールドファイルⅤ
『天鬼越』北森鴻 2014年
単行本未収録の二編と、幻のプロットに基づいて婚約者・浅野里沙子が書下した新作四編を収録とのこと。
初読。
「鬼無里」「奇偶論」が北森鴻。
「祀人形」「補堕落」「天鬼越」「偽蜃絵」は浅野里沙子。ただし「天鬼越」は北森鴻のプロットによる。
浅野里沙子の蓮丈那智は北森鴻の那智よりもよく話す。少し違和感。

12月14日
旗師・冬狐堂シリーズ1
『狐罠』北森鴻 1997年
再読。
旗師、冬狐堂こと宇佐見陶子が主人公。旗師とは店舗を持たずに市などで骨董品を入手して流通させる業者のこと。
陶子に協力するカメラマンの横尾硝子とともに、二人は「三十女」だそう。
「目利き殺し」を仕掛けられた陶子は「目利き殺し」を仕掛け返そうとするのだが、そこに殺人事件が絡んで来て事態は複雑になる。
それにしても陶子はタフな女だね。
胃を3分の2を切除して入院してたのに無断で外出とか、しかもその腹を蹴られて胆汁を吐くとか、ありえない!
この作品のお蔭で、漆器の贋作の作り方がわかりました。 
 
 


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