仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『カンナ 飛鳥の光臨 』 高田 崇史

2008-12-19 17:45:00 | 讀書録(ミステリ)
『カンナ 飛鳥の光臨 』 高田 崇史

お薦め度 : ☆☆☆
2008年12月15日讀了



カンナ 飛鳥の光臨 (講談社ノベルス)
高田 崇史
講談社

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この作者の作品は、かなり以前に、いろは歌の謎に關係するものを讀んだことがある。
内容は殆ど覺えてゐないが、それなりに面白かつたやうな氣がする。
ただし、その骨格となる謎とその解釋は、それ以前に他の人の著作で讀んでゐた所爲か、中途半端な感じがした。

今囘の作品は、副題の「飛鳥の光臨」に惹かれて購入した。
おそらく、私の好きな飛鳥時代のことが題材になつてゐるのだらうと期待してのこと。

讀み始めて、私の推測は當つてゐたことがわかつた。
聖徳太子不在説、蘇我王朝説、「乙巳の變=中臣鎌足クーデター」説。
これらはいづれも古代史の謎として魅力のある説だ。
それらを殺人事件に絡めてゐるのだが、やはり中途半端。
まつたくかういふことを知らない人に、かういふ説もあるといふといふことを知らしめるにはよいかもしれない。
ただ、論據を長々と紹介するわけにはいかないので、下手をすると、「け、アホらし」で濟まされる恐れがある。
古代史ファンとしては、それを恐れる。

肝腎の殺人事件についても、その背後にある何等かの「組織」が暗示されてはゐるものの、それが解明されないままなので、氣持ちが惡い。
犯人も行方不明のままだし・・・
推理小説として讀むと期待外れだらう。

古代史の謎を題材に採り上げてくれたといふことを評價しておかう。


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