仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

フランツ・ウェルザー=メスト

2011-01-08 18:37:18 | クラシックはいかが
2011年ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの再放送を見た。
指揮者はフランツ・ウェルザー=メスト。

フランツ・ウェルザー=メストと云ふと、20年ほど前、NHKの藝術劇場だつたかで初めて彼の音樂にふれた。
ロンドンフィルを振つたベートーヴェン交響曲第5の演奏で、じつにフレッシュで熱いベートーヴェンだつた。
最終樂章の火を吹くやうな推進力は、この演奏の前にも後にも聽いたことがない。
たまたまヴィデオで録畫してゐたのは、我ながらラッキーだつたと思ふ。
その後もふとした拍子に聽きたくなり、何度かヴィデオで再生しては、彼の音樂から元氣を貰つた。

當時の彼の風貌は、生まじめながらも若々しかつた。
たぶん私より2つか3つ若いのだらう。
20代後半の有望な指揮者が出て來たことを喜んだ。
そして彼の活躍をウォッチしようと思ふとともに、彼のメンデルスゾーン「スコットランド」のCDを買つた。

そんな彼が、ニューイヤーコンサートの指揮をすると聞いて驚いた。
いつの間にそんな超一流の指揮者になつたんだ?
いやいや、それどころか、2010年からウィーン國立歌劇場の音樂總監督に就任してゐると云ふではないか!
ここ20年ほど、クラシック音樂界の動向に興味を持たなくなつてゐたので、そんな大事件?すら知らなかつたのだ。

けふ、久しぶりに彼の姿を見た。
頭髮はグレーになつたものの、生まじめな印象は昔のまま。
いや、さすがに年齡を積んだからか、生まじめさうななかにも、大人のゆとりを感じた。
年齡は私より少なくとも5つ、いや下手すると10歳は若く見える。
20年前には3つ程の年齡差だつたのが、20年後に10歳程の年齡差になつてしまつた。
見掛け同樣、音樂も若々しい。
演奏曲の性格上、20年前の一氣呵成の猛烈な推進力はないものの、テンポの早めな流麗な演奏だつた。
最初に彼を聽いた印象からか、彼の演奏には底のはうに熱い芯が感じられてならない。

アンコールはいつもの「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」。
ラデツキーでは恆例となつた觀客の拍手を指揮してゐたが、生まじめな彼らしく、どこか照れたやうな表情が印象的だつた。
いつもこの曲になると、バーンスタインがニューイヤーコンサートを指揮してゐたならと、ないものねだりをしてしまふ。
きつと、ホール全體が一體となつて盛り上がつたことだらう。
返す返すも、彼が直前に亡くなつてしまつたのが殘念だ。

これを書くにあたつて調べてみたら、フランツ・ウェルザー=メストは私と同い年だつた。
しかも同じ獅子座の生まれ。
道理で波長が合ふわけだ。
完全に同世代の指揮者なので、これからは改めて彼の音樂をウォッチしていかう。
さつそく彼のCDを調べて、好きな曲があつたら買はうと思つてゐる。
まづは手始めに、クリーヴランドを振つたベートーヴェンの交響曲第9かな?




■「ニューイヤー・コンサート2011」プログラム
[第1部]
ヨハン・シュトラウス2世:
 1. 騎士行進曲 作品428
 2. ワルツ《ドナウ川のおとめ》作品427
 3. アマゾン・ポルカ 作品9(*)
 4. デビュー・カドリーユ 作品2(*)
5. ヨーゼフ・ランナー:ワルツ《シェーンブルンの人々》作品200
6. ヨハン・シュトラウス2世:.ポルカ《勇敢に前進!》作品432(*)
[第2部]
ヨハン・シュトラウス2世:
 7. 歌劇《パスマン》から〈チャルダーシュ〉作品441
 8. ワルツ《別れの叫び》作品179(*)
9. ヨハン・シュトラウス1世:《熱狂的なギャロップ》作品114
10. フランツ・リスト:《村の居酒屋での踊り》(メフィスト・ワルツ第1番)(*)
11. ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ《遠方から》作品270
12. ヨハン・シュトラウス2世:スペイン行進曲 作品433
13. ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世:ジプシーの踊り(バレエ《イベリアの真珠》より)(*)
14. ヨハン・シュトラウス1世:カチューチャ・ギャロップ 作品97
15. ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ《わが人生は愛と喜び》作品263
(*)=ニューイヤー・コンサート初登場曲





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