仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『 天使と悪魔 』 (上・中・下)  ダン・ブラウン

2009-05-13 13:00:21 | 讀書録(ミステリ)
『 天使と悪魔 』 (上・中・下)  ダン・ブラウン

お薦め度 : ☆☆☆☆+α
2009年5月12日讀了


3年ほど前に讀んだ 「ダ・ヴィンチ・コード」 は實に面白かつた。
ダ・ヴィンチの有名な作品に祕められた謎がキリスト教の成立時代におよび、聖書の成立ちやカトリック教會の祕密に關はつてゐてゆくあたり、知的好奇心をくすぐられた。
結果、星5つ(特選)としたのは、いまでも妥當だと思つてゐる。

さて、本書だが、こちらは「ダ・ヴィンチ・コード」の主人公、ロバート・ラングドンが登場する、いはばシリーズ第2彈。
ただし、作中時間でいへば、本書のはうが「ダ・ヴィンチ・コード」より前になつてゐる。
ただ、それが作品に影響する部分はまつたくと云つて良いほどないので、どちらから先に讀んでも構はないだらう。

宇宙創世の「ビッグ・バン」を人工的に起こすことに成功した科學者が、何者かに殺される。
そして、副産物として生成された「反物質」のサンプルが盜まれてた。
この「反物質」は核爆彈の數十倍の威力をもち、わづか4分の1グラムでひとつの
街を消滅させることができる。

いつたい犯人は誰か。
殺された科學者の胸に烙印が押されてゐたことから、祕密結社「イルミナティ」が關係してゐるらしい。
烙印の意味を解讀したラングドンは、殺された科學者の娘で自身も科學者であるヴィットリアとともにヴァチカンへと向ふ。

ヴァチカンでは折しも15日前に教皇が亡くなり、新教皇選擧(コン・クラーベ)が行なはれる直前であつた。
ところが、有力候補の4人が誘拐され、ひとりづつ殺されていく。
そして、その胸には「イルミナティ」の烙印が燒付けられてゐる。
烙印の意味を解讀し、次はどこで殺されるのかを豫測するラングドンであつたが・・・。

最後は、お約束のどんでんがへし。
これは、なんとなく豫想がついた。
ただ、その犯人すら知らないことが明されるのだが、これは衝撃的だつた。
人間とは、なんと悲しい生き物なのだらう・・・

「ダ・ヴィンチ・コード」よりも謎そのものがシンプルなので、知的好奇心がくすぐられるといつたことはない。
しかし、その分、物語の推進力は「ダ・ヴィンチ・コード」を上囘る。
上卷を手にした時から一氣呵成に下卷まで讀んでしまふだらう。
アクションシーンも派手。
まるでジェームス・ボンドばりの、「主人公は死なない」といふお約束が適用されるシーンもある。
15日から映畫が公開されるが、きつと 映畫化された「ダ・ヴィンチ・コード」 より面白いのではないだらうか。

蛇足ながらタイトルについて。
惡魔は墮天使だといふ。
一歩間違へば天使も惡魔と化す。
さういふ意味で、このタイトルはこの作品に相應しい。




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