そらいろ

旅とアートの雑記帳… 旅・自転車・写真・音楽・陶芸など身近な話題を気の向くままに…

9日間の記録 (前篇)

2013-03-21 | トピック

 この9日間のブランクは、人生初の手術入院によるものでした。

 自覚症状は全くなかったのですが、1月の脳ドッグで喉の左部分に大きな腫瘍が見つかりました。その後、検査のための通院を繰り返し手術の説明などを受けました。幸い悪性ではなかったのですが(最終検査は結果待ち)、かなりの大きさ(当初直径5cmと言われましたが、2.5cmのものが二つ連結していたようです)のため、年度末の忙しい時期とはわかっていましたが切除することに決めました。
 手術の記録など書かなくてもいいかなと思いましたが、後々の自分のためにあえて記録しておきます。

<今回お世話になった病棟>



【3月12日(火曜日)】
 朝、自宅を出発、渋滞なく1時間で病院着。入院手続きを淡々と済ませ病棟へ。昨年10月に全面改築されたということできれいな建物、明るい室内で設備も新しい。

<病室フロアの入口:オートロックドア>


 談話室は木調の床やインテリアで統一され落ち着いた感じ。



 パジャマに着替えると気持ちはもう病人。日中に血液検査や確認のためのエコー検査を受ける。
 手術の開始は明日の13時に決定。夕食以降禁食、21時からは水分も禁止。10時間以上も水分補給ができなくて大丈夫かと心配してしまう。


【13日(水曜日)】
 「朝食禁」だったので、起きてからずっと談話室で時間を過ごす。入院期間を通して「Nexus7」が大活躍でした。
 10時に手術着に着替え点滴を受ける。手術着はすぐに脱げるようにマジックテープで肩や袖を止める方式。点滴は水分補給のためかと思われたが、もしかすると試行の意味もあるかも知れない。T字帯を股に付け、圧迫靴下を履いて、13時5分前に手術室へ案内される。
 手術室に入るとチームの紹介がある。ナースはみんな若い。主治医の他に研修医やと麻酔科のドクターもいたと思うが確認している余裕などなかった。
 「頭をここにして横になってください」、「麻酔入りま~す」、「えっ、いきなり…?」。
 そして、ちょっと眠いかなと思った瞬間、意識が消えてしまった…らしい。

 「終わりましたよ~!」とほっぺたを叩かれて、寝ていたことに気がついた。時計は、あっという間に18時30分、「息できますか?」「呼吸器外しますから息吐いて~」、「スポッ!」。
 腫瘍をはがすのが予想より大変だったようで、見せられた瓶に入ったそれは、Sサイズの鶏卵ぐらいあった。「こんなのが咽に張り付いていたの?」と驚くほどの大きさ。ドクターに「写メ撮らなくていいですか?」と言われた。
 その後、すぐ、SICU(※外科系集中治療室 - SICU(Surgical Intensive Care Unit) 従来の「術後回復室」が高度化したもので、主に全身麻酔による外科手術直後の患者を、容体が安定するまで短期間収容する)へ搬送される。
 身体が思うように動かず、ひたすらじっとしていた。このあたりの時間はあっという間に経過した。

【14日(木曜日)】
 夜中何度か目を覚ました。個室にしては広めの空虚な空間に一人で寝かされているシーンはどこかで見た近未来映画のシーンに似ている。
 朝、起き上がり、立位がとれるのを確認してカテーテルを抜く。「息を吸って~、はい、吐いて~」と同時に「シュルルッ!」。「オッ!」と心の中で叫んでしまった。
 ナースに見守られながら、ICUのフロアを歩く練習。冷静に周囲を観察すると、全室同じタイプのような個室。患者2人に担当ナースが1名。そのため、二つの個室の間には看護師のデスクとデータ管理用にパソコンがそれぞれ配置されていた。個室は中央のナースステーションを取り囲むようにして配置されている。
 朝食は無いのかと思っていたが、用意されており自重しながら3割程度食べる。
 10時に一般病棟に戻ったが寝返りが打てない苦しさは残る。昼食は半分程度、夕食は全量と摂食量を少しずつ増やしていった。



 夜間も、首は動かせず、呼吸器を外した喉は痛み、腰も次第に苦しくなっていった。傷口にはチューブが取り付けられており、浸出液を受ける袋も肩から下げている。動くこととがままならないのはなかなかきつい。  (…つづく)