「N響・Music Tomorrow 2010」を東京オペラシティ コンサートホールで聴く。NHK交響楽団、指揮:パスカル・ロフェ
山根明季子 / 水玉コレクション No.06 [N響委嘱作品/世界初演]
冒頭、金属打楽器を含むトゥッティの強烈なクラスター音型に驚かされる。しかしその音型の1.5倍ほどの休符に遮られながら、「ティクタクティクタク…休符」のパターンは音色や強さを変えつつ、結局最後まで反復される。
弦は前半、グリッサンドやピッチカートだけ。後半は16分音符のさざ波となり、パターンにシンクロしたりずれたりしながら断続的に繰り返される。とりわけ2台の鉄琴と木鐘は、機械的なリズムを永続的に刻む。
藤家溪子 / ギター協奏曲 第2番「恋すてふ」 作品60 (1999) [第48回「尾高賞」受賞作品]
日本民謡風の素朴なトランペットで始まると思いきや、a-mollとE-durを基調としながら、あり得ない意外な展開が手品のように柔軟に繰り広げられる。
様々なラテン打楽器が森を思わせ、フルートはウグイスに化ける。喜び、躍動、霊感に満ち、機械的な反復が存在しない。
ギター:山下和仁
サリネン / 室内楽 第8番 作品94「木々はみな緑」(2009) [日本初演]
弦五部(第1ヴァイオリン4~コントラバス1)+独奏チェロ
編成は小さいが音楽は長大で深い。a-mollに始まりg-mollで終結する、表現主義のスタイルの完全な調性音楽。まだこういうスタイルで新たな音楽が成立するのか、否、今こそ?途中、やや安直な部分もあったが…。
チェロ:ピーター・ウィスペルウェイ
ダルバヴィ / まなざしの根源(2007) [日本初演]
冒頭、金属打楽器を含むトゥッティによる4音の明確なモチーフ。次いでd-mollの太い単旋律がゆったり進行し、持続音のエコーが豊饒な和音となる。
時折、クレッシェンドが強烈なスフォルツァンドを呼び、4本のホルンがユニゾンの持続音で受ける。
後半、弦がさざ波を起こし、フルートやトランペットが色彩を加えるが、それも一時的。
曲尾、弦がソロのアンサンブルになったり、太鼓や銅鑼で悲劇的なg-mollの大音響になる手法は、むしろ定石に感じた。
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