三月にみた山田洋二監督の『東京家族』。
その延長と言っては少し重たいんだが、小津安二郎監督の『東京物語』をみた。
数週間前にようやくみたのだが、印象が強くて、いまだに頭にこびりついている。
・・・白黒の映画で、今どきの映像と比べれば、画質も悪くて、
観るだけでも結構疲れるのだが、相当完成度が高い作品なんだろう・・・。
みて思ったのは、『東京家族』は、かなり忠実に『東京物語』をリメイクしていること。
あらすじはほぼ同じで、シナリオもかなり同じ部分があるように思う。
山田洋二監督の思い入れが相当あるんだろう。
それにしても『東京物語』は、昭和28年の作品。
その作品のリメイクが今の時代にも十分通用するという驚き。
・・・・・これはすごい。
親子の関係、情感というものはいつの時代にも変わらないもの、と
あらためて考えさせられる。
小津安二郎監督の凄さを今更どうのこうのと言うつもりはないが、
変わらないことの重たさ、大切さを思い知らされた気がする。
親子・・・いつの時代でも、その関係性は変わらない。
・・・それぞれの思いが重なることはないんだなぁ、と。
親は親の思いがあるのに、子はその思いに気付くのは親の歳になってから。
そんなことは百も承知、と言いたいところだが、やっぱり自分もそうだった・・・。
映画の内容と、それぞれの家庭では状況が違うのは当たり前だが、
親子の思いのズレは、どこの家庭でも似たようなものなんだろうと思う。
それは、ほぼいつの時代も同じ。まるで公式・・・。
そして、リメイクされても十分通用することで、
あらためて小津安二郎という人の凄さを感じさせられた。
もう少しこの人の作品を観てみようかな、と思う。
それにしても、小津ワールド。カメラのアングル、画面の構図、俳優の単調な表情・・・。
観ているときはさほど思わなかったのに、見終わった後、
映像のイメージが頭の中で時間が経てば経つ程、染み込んでくる感じがする。
・・・なんとも不思議な感覚だ。白黒の映画が、まるでカラー映画になったような・・・。
あまり関係のない話だが、
この作品にも出ている”永遠の処女”と言われている『原節子』さん。
小津安二郎監督の逝去後、女優を引退、未だに隠遁生活を送っていることは有名だ。
小津監督の終の棲家がある、鎌倉で生活しているとされている。
・・・当年、93歳になられるそうだが、
どんな人なのか、興味が湧いてしようがない。