4月例会山行
ルート:奥穂南稜~奥穂~北穂
ルート:奥穂南稜~奥穂~北穂
日時 :5月3~5日
メンバー:I原、O石、U山
4月例会山行で穂高に行ってきました。
好天に恵まれ、奥穂から北穂まで、春のアルペンムードを満喫してきました。
<ドームから北穂をバックに>
<ドームから北穂をバックに>
3日 晴れのち高曇り
今回の山行は下山が新穂高か上高地か可能性が半々だったので
平湯温泉に車を止め、そこからシャトルバスで上高地に入山した。
私はこの経路は初めてだったが、沢渡にくらべて入山者の絶対数が少ないせいか
バスの待ち時間が短くて、好印象をもった。
上高地を9時半に出発。
晴れてはいるが上空の薄い雲のせいで日差しが和らぎ歩きやすい。
晴れてはいるが上空の薄い雲のせいで日差しが和らぎ歩きやすい。
<岳沢を行く>
岳沢小屋に12時着。
小屋周辺は雪の斜面が段々に整地され、テン場の区画が切られていて番号まで付けてある。
さらに、GWの岳沢でかつて見たことが無いほどの数のテントがあって、
ここを前回訪れた5年前とはだいぶ雰囲気が変わっている。
<岳沢 テン場>今回の山行を通じて印象に残ったのは、岳沢に限らず至るところのテントの数の多さ。
特に小梨平は、遊歩道の周辺一帯に色とりどりのテントが張られていて、
まるでどこかのキャンプ場のようだった。
テント設営後、明日登る奥穂南稜の取り付きを偵察。
偵察を終えテントに戻って陽が高いうちから酒宴を始める。
自分はともかく、I原、O石の両氏は小屋で買った生ビール、持ち上げたワインボトル、
日本酒?合を立て続けに空け、酒豪二人をして”今日は飲んだね”と大満足であった。
日本酒?合を立て続けに空け、酒豪二人をして”今日は飲んだね”と大満足であった。
<生ビール> <つまみ類と肉汁のしみ込んだ調理板>
上高地 9:30 ~ 岳沢 12:00
4日 晴れ
2時過ぎに起床。昨晩の酒が過ぎたせいか目覚めがイマイチ。
朝食を済ませテントを畳み、4時少し前に南稜への一番手として歩きはじめる。
しばらくすると2パーティーが後続してきて、取り付きには我々含め3パーティーがほぼ同時に到着。
うち1パーティーと前後して大滝手前の尾根に取り付き、下部の堅雪の斜面を登る。
早朝の固い雪でふくらはぎの負担が大きいが安定した休憩場所がなかなか現れず我慢の登高が続く。
<下部斜面>岩稜帯が始まったところで5mほどの立った雪壁があらわれたのでロープを出す。
並走の2パーティーは右に巻くようにロープを伸ばすが、途中でピッチを切らざるを得ない模様。
I原・O石さんは左上する弱点に目をつけ、O石さんリードで雪壁を直上。
この読みは素晴らしく、最短距離で雪壁を超えて、他パーティーの苦労を尻目に余裕でトップに躍り出ることができた。
<雪壁を超える>
<核心部>
<稜線を目指す>
<雪壁を超える>
その先、トリコニーⅠ峰でロープを2P伸ばし、ナイフリッジを超えて核心部は終了。
<核心部>
この頃だったと思うが、岳沢方面から県警のヘリが飛来し、南稜下部でホバーリングや旋回を繰り返し始めた。
これを見て並走していたパーティーに何かあったのかと訝しがったのだが、
下山後、我々の後に取り付いた大学生パーティーの事故があったことを知った。
核心部を超えその先、吊尾根に向けてひたすら雪稜、雪の大斜面を登る。
<稜線を目指す>
が早朝の堅雪の登高の疲れが出始めて、I原、U山はスピードが上がらない。
奥穂に10:00に到着し大休止。快晴の下、360°の大展望を楽しむ。
<奥穂頂上付近>
その先、穂高岳山荘で飲み物を補給。持ち上げた水が乏しくなりかけていたところだったので
これは助かった。
<穂高岳山荘> <涸沢のテント村>
涸沢岳からの下降点は雪の付き方等によってはわかりにくいところだが
今回は捨て縄が残されていたので容易に見つけることができた。
ここからの最初の急な鎖場を懸垂で下り、その先、クライムダウンや短い懸垂を交えながらD沢のコル、涸沢槍と進む。
涸沢槍の下りは先行者のトレースがあってO石さんが先行したものの、
先が見えない急斜面の下りのためO石さんを止めてロープ確保を行う。
トレースは夏道(トラバース)ではなく斜面をダイレクトに下っており、
至る所で大きな岩が浮いていて油断できない。
途中、比較的安定した場所があったのでそこからピナクルを支点に懸垂下降し夏道の梯子に合流。
その下の鎖場もついでに懸垂で下って無事悪場を通過することができた。
(この下りで、先行パーティの姿を見かけるとともに逆コースパーティとすれ違った。)
<涸沢槍の下り> <最低コル付近>
最低コルから登り返すと飛騨側の奥壁バンドのトラバース。
パッと見たところトレースは明瞭で問題なく行けそうにも思えたが
疲労に対する配慮や、ビレーシステム構築の訓練的な意味合いも含めてロープを出し、3Pほどで通過する。
<奥壁バンド>
ドーム手前からはこれまでの岩と雪のミックスから岩主体の登りに変わる。
<ドームの登り>
<北穂まであとわずか>
松濤岩手前の雪壁を涸沢側にクライムダウンすると北穂沢のトレースに合流。
そこから一登りで北穂山頂に17:45着。随分と時間がかかってしまったが、
今回最低限の目標としていた北穂に辿りつけたので握手を交わす。
頂上は夕焼けを眺めに来た小屋宿泊登山者で賑わっていた。
今回できればキレットを越えたかったが、6日が雨予報なので明日は確実に下山すべく涸沢経由で上高地に下山することに決めた。
テントは夏のテン場(南稜)は使えないので、頂上直下のコルの雪壁を切り崩して張る。
本日の行動中に終始見下ろしていた涸沢には大テント村が出来ていて、その分だとここにもけっこうな数のテントがあるだろうとばかり想像していたのだが我々以外には松濤岩の基部に1張りのみ。
ちなみに小屋にビールを調達しに行ったO石さんがテント泊を申し出たところ、
テン場はまだ営業開始をしていないからと幕営代は取られなかったそうだ。
この晩は、朝が早かったことや長時間行動だったこともあって、I原さんが持参のバーボン(56°)をもう飲めないと白旗を揚げ8時過ぎには就寝。O石さんは、もったいないからとI原さんが残したバーボンを飲み干して、相変わらずの酒豪ぶりを発揮していた。
岳沢 3:50 ~ 南稜取り付き 4:30 ~ 稜線 9:40 ~ 奥穂 10:00 ~ 涸沢岳 12:00 ~ 北穂 17:45
<北穂沢からの北尾根>
横尾本谷を過ぎて山腹トラバースに移るところから見る屏風の右岩壁がいつになく近くに見えたが、気のせいだったのだろうか?それとも例年より下だったのだろうか?
<徳沢からの奥又白>
以上
5日 晴れ
外が明るくなり、テントの脇を通るアイゼンの音が頻繁に聞こえるようになってきたところでシュラフを抜け出す。
今日もいい天気。山ケイの見開きグラビアに出てきそうな青空バックの北尾根を眺めながら北穂沢を下る。
横尾本谷を過ぎて山腹トラバースに移るところから見る屏風の右岩壁がいつになく近くに見えたが、気のせいだったのだろうか?それとも例年より下だったのだろうか?
横尾からは徳沢に向けていつもの林道を歩き始めたものの、雪道につけられたトレースが薄くておかしいなと思っていたらそれとほぼ並行して梓川沿いに新しい道がつけられていてそちらがメインルートになっていた。
<徳沢からの奥又白>
徳沢では夏でも見たことがないような数のテントを目にし、上高地が近づくにつれ中国語をたくさん耳にするようになってきた。仰ぎ見る穂高の峰々の姿はここを初めて訪れたときからほとんど変わっていないのだが、麓の様子はどんどん変わっていく。
上高地に14:30に着いて山行は終了。
先にバスターミナルに着いたO石さんがバスの順番待ちをしていてくれたおかげでほとんど待ち時間無く平湯行のバスに乗り込むことができた。
北穂 7:15 ~ 涸沢 8:30 ~ 横尾 11:00 ~ 上高地 14:30
今回の例会山行は、U山が(雪のある時期に)まだ歩いたことが無いルートをつないだもので山登りとしてみると少しまとまりを欠いたものだったかもしれないが、個人的にはこれで雪の穂高主稜線が全てつながったので満足している。
I原さん、O石さんにとっても、何か新しい経験が得られた山行だったのなら例会山行として意味のあるものだったと思います。
以上
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