明日は節分です。Lunaの職場では、ちびっ子がいるところでは、節分があるかもしれませんが、大人ばかりの部署はたぶん何もないと思います。(そんな心の余裕がみんな無いので…)
節 分
「明日は節分かぁ。でも、寒さはこれから本番だよな。オレンジ二階は豆まきとかするのか?」
田口がのんびりありすの家の掃除をしながら、速水に尋ねた。
「ああ? 立春なんて嘘なぐらい天気予報は寒いって言ってるぞ。ああ、嫌だ」
「昔から速水は、寒いの苦手だもんな…」
「ありすだって、もこもこのくせに、ヒーター使ってるもんな。もふもふじゃない俺が寒いの嫌いなのは当然だろう」
意味の無い主張を述べる速水に、田口は勝手に言ってろだ。
「ポカポカしたカーペットの上でごろごろしている奴が言うことなんて、聞く耳持たないからな。それより、オレンジ二階は豆まきするのかって聞いているんだけど…」
「毎年しているから、今年もするはずだ。確か計画書が提出されていたような気がする」
「気がするって、お前、オレンジ新棟の責任者だろう?」
「二階のことは、あまり知らないのが実情。計画書もよほどおかしなものじゃない限り、斜め読みで判を押してるからな」
ありす~などと、愛うさぎの名前を呼んで床に転がっている速水に、田口は深ーいため息をついた。
「まあ、オレンジ二階は猫田さんがいるから大丈夫だろう。それより、恵方巻き食べたいから差し入れよろしく」
「はあ? そんなのセブンイレブンでも、ローソンでもいいから注文しておけよ。院内にあるんだから、すぐ取りに行けるだろう」
昨今の大病院ではコンビニが24時間稼働している。誰よりもその恩恵を被っているのが、医者や看護師だ。何しろ夜中でも食べ物が並んでいるし、日用品も豊富だから、連続当直で履くパンツがなくなるという悲劇もなくなった。
「コンビニなんか…、この一ヶ月行ったことねぇよ」
「さようですか」
「さようです」
速水は相変わらずの忙しさのようだ。
「1月が終わったのも、行灯が言わなかったら、気づかなかったからな」
と言いつつ、速水は床から起きると、アリスの家の掃除を終えた田口の背中にべたっと貼り付いた。
「重っ! 全身で俺に乗るな。お前の重さに俺が耐えられるわけないだろうが!」
「体力なさ過ぎ…」
「お前が有り余っているの。…あっ、速水は明日、日勤?」
「ああ。佐藤ちゃんに夜中にヘリは飛びませんから、昼間頑張ってくださいって追い出された」
「だったら、豆まきしよう。お前、いっつもあんな部屋に籠もっているから、季節もわかんなくなるだろう。季節感は大事だぞ、ということで、明日、帰宅したら豆まきな」
田口は去年もそんなことを言って、昼間は小児科の豆まきに参加し、帰宅してから家でも豆まきをしたのを、速水は覚えている。そう言えば、一昨年も…。
節分だけじゃない、ひな祭りもひなあられを買って、ありすを祝っていた。年中行事というのを、田口は昔から忘れない。そのおかげで、速水は季節の移り変わりを感じていた。
「豆まきの後はバレンタインで、三月はひな祭りにホワイトデー、卒業式もあるか…、お彼岸もあったよな」
期待を込めて速水が、田口の耳元で囁けば、
「甘い物づくしを期待している?」
と、田口に突っ込まれた。
「コンビニがな」
わずかな期待を込めて速水は答えたが、すかさず田口から、
「手作りはないので、コンビニと仲良くな」
と先手を取られてしまった。
※明日は月曜日。恵方巻きを食べたい将軍ですが、田口先生も日勤なので、巻き寿司なんて作っている時間がありません。豆まきで我慢しなさいよ!でした。ちなみに、田口家の豆まきは、大豆ではなく金平糖です。さすがに自分の年だけ食べるのは控える田口先生ですが、はやみんは幸せそうに年の数食べます。でもって、ありすは1個しかもらえません。
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