新型コロナウイルス。猛威を振るっていますね。Lunaも「うーん。Luna先生、担当の学校から問い合わせがあったら、よろしくね❤」と言われたけど。今、インフルエンザも流行中…。どうすんじゃです。
新型ウイルスがやって来る?
「速水先生。新型コロナウイルス感染症はどう判断すればいいんですか?」
「そんなの自分で調べて、俺に報告しろ。手が空いたら、WHOや国立感染症研究所などの発表をチェックしろ!」
外傷患者の対応をしながら、速水は叫んだ。最近の研修医は、他者頼りが酷すぎる。まず、自分はどうしたらそれに対応できるかを考えろと、言い続けている気がする。分からないことは、何でもかんでも、直ぐにグーグル…。
その前に自分の知識を総動員してみろ! と言いたい速水だ。何のために、6年間も勉強してきたんだ。と、どやしつけたいが、それをすると、パワハラと言われかねない昨今である。とは言っても、救命の最前線であるここでは、先輩諸氏の罵声、怒声が飛び交うのは日常茶飯事だ。
確かに知識の面では、便利にはなった。薬もいちいち分厚い本をめくらなくても、タブレットで検索できるし、治療のガイドラインも簡単に調べられる。代わりに、考えの幅が狭くなっているような気がする。
「何でウイルスは次々と新しいのが出て来るんだよ」
速水がイライラしながら言うと、
「奴らなりの生き残り戦略だろう。なんせこの世にどのくらい存在するのか分かっていないだろうからな」
ひょうひょうと田口が答えた。
「…それはそうだが…」
人が病気になるから、その原因を突き止める。逆言えば、人が病気にならないウイルスや細菌は、気づかれないのだ。
「ひっそりと、でも、しっかり生きているって、凄いよな」
「ずっとひっそりしててくれれば、困らないのにな」
新型とかめんどくせーと、速水は愚痴る。
「人間が存在を忘れた頃に出て来るんだよ。忘れてないかって。エイズやエボラ…。ああ。はしかの大流行もあったっけ」
実にシビアな田口の発言に、速水は人間の思い上がりとエゴを考えた。同じ地球に生きるものだ。優越はないはずなのに、人間はすぐに自分たちが一番だと思ってしまう。他の生き物たちが、何も言っていないと勝手に思い込んで…。単に言われているのに気づかないだけかもしれないのに…。
「確かに、インフルエンザなんか人類の歴史とともに流行しているもんな」
「そっ。でもって、今も根絶は不可能」
かぜの特効薬を作ったら、ノーベル賞だと言われている。それぐらい、ウイルスとの戦いは大変だ。抗生物質を作れば、必ず、耐性菌が生まれる。なかなか彼らは逞しいのだ。
「肺炎らしき患者が来たら、新型を前提に対応しろ。他の患者に移さないよう部屋を分けろ。対応するスタッフは、感染症対策を徹底しろ」
速水はオレンジのスタッフに命令を出した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます