拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

ジャレない猫

2019年09月21日 | ヨーロッパの風

これまで、様々なミッションをこなしてきたが、今回のは初体験であった。

何年もあってない知人に近い友人からメールで『旅行にゆくので、3泊してうちの猫の面倒を見てもらえませんか?』という依頼をうけた。

10年ぐらい前に猫の写真で『花猫風月』の題名で写真展をした時、見に来てくれ、黒猫の写真を買ってくれた日本人女性とスイス人の旦那のカップル…時折カフェなどでばったり出逢うと近況を話す程度のつきあいであるが…それで、ボクのことを思い出したのだろう。

お目目のクリクリとした白長の毛の猫の写真と自宅の窓から撮ったのだろう、田舎の緑広がる風景写真を添付してあった・・・。

む~っ、田舎で猫とノンビリ…っていうのもイイね〜 …ってな気分になってOKした。

彼らがバカンスに出かける前に訪ねてレクチャーを受け、この水曜日から3泊4日の猫世話ミッションが始まった。なんせ、ボク自身はこれまで一度も動物を飼ったことがないのだ…。

しかし、10年前ローザンヌ中の放し飼い猫の撮影で培ったノウハウで、猫をてなずける事においては『股旅者(またたび)』を自認するボクはどんな猫でも任せろ〜!…とは思っていたのだが、このやたらに眼の大きい『雪美』という名の猫はボクが知っている猫とは違っていた。

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ものすごい、用心深い・・・というか臆病者というか。

最初の日に、ボクが彼らが留守の家に入った時、雪美は2階の寝室のベッドの下に隠れて、全く出てこなかった。

猫というものはヒモに何か結んで猫の目の前で引っ張ったり、揺らしたりしたら必ずジャレる…とボクは確信していたから、猫のお気に入りのボールにヒモを結んで猫の前で揺らすのだが、ジャレるどころか、怯えて奥に引っ込んでしまうのだ・・・。

ミユキ…という名前に慣れているせいか、雪美…という、言いにくい名前を勝手のよく知らない誰もいない他人の家で、名前を呼んでいるのに、かえっておびえる眼をしている雪美を見る時、自分はここでなにしているんだろう…的な気分になったりした。

僕等のアパートよりは広々した2階建ての家での留守番は、いろいろ思索するのにいいチャンスかも??…という甘い考えで引き受けたのだが、田舎風景のここから駅のある街の中心まで、バスが一時間に一本という環境はどちらかというと都会派の自分にとってなんかな〜っていうのが本音であった。

それでも、雪美が遊んでくれるのだったらいいのだが…

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餌の準備をする時のみ、足に絡んだりなついてくる…現金な猫『雪美』

留守の家でノンビリと本でも読んでと思っていたが、ソファも椅子も猫の毛だらけで、そういった状態に慣れていないボクは落ち着いて座る気がしなくて…

2日間は寝る時にボクの寝る部屋のドアを閉めて寝た。夜中に突然猫に来られても気色悪い気がしてそうしたのだが、3日目は雪美もボクの寝室に来そうもないので、夜に開けたままにして布団に入ってアイパッドで動画を見ていたら、雪美が物珍しいものを観る好奇な目でジットこちらの様子をうかがっては、徐々に近づいてきたのだ。

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ボクが雪美に視線を送ると、その視線をそらす雪美…こんな表情の猫をボクは見たことがなかった。

猫ってどの猫でも単純にジャレるわけでもない…ということをボクは学んだ。


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