新国椿姫初日。登場人物の存在感を求めるブサールの演出、積極的にドラマを先導するアベルの指揮、入念に役柄を作り込んだヴィオレッタのボブロ。この三者を中心に他のキャスト、オケ、合唱が噛み合うことで、見応え&聴き応え共に充分な上演に仕上げられていたのでは。もう一度足を運べるかなあ。
新国 椿姫。問題はヴァンサン・ブサールの新演出だ。 まず良い点を書いておくと、非常に美しい。床と壁面の鏡に映る舞台と照明が、実像と虚像の世界を映し出すかのように、儚げな美しさを描き出す。衣装も、合唱団の一人ひとりに至るまで違うドレスを用意し、その上品な色彩感の溢れている。