あそび心575

 酔生夢死を楽しみたいのですが、与命僅か。遺す未練も後生の楽しみ。 
 交心もらえるとハッピーです。 

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線

2005-01-13 16:42:45 | パラダイムレボリューション
 「共時性」に近づく

 BOOKアサヒコムの書評欄を見ていたら、≪進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 池谷裕二著 興味を誘う対話に教育の真髄を見た≫で注目が止まった。好奇心全開の誘惑。≪ [評者]天外伺朗(作家)≫で納得。何らかの力が仁をこの書評まで誘い込んだんだろう。これも「共時性」のエリアかもしれない。
 以下書評転載。

 ≪本紙掲載2005年01月09日
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進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 池谷裕二著
興味を誘う対話に教育の真髄を見た

本紙掲載2005年01月09日
 本書は、最新の脳科学を八人の高校生に四回講義した記録だ。だから平易なのは当然。だが、単なる教養書ではなく、最新の研究成果が紹介され、著者自身の仮説が熱く語られている。

 私自身は現在、脳科学と人工知能の統合を目指しており、この分野は専門に近いのだが、何度も感嘆の声を上げた。これほど深い専門的な内容を、これほど平易に説いた本は珍しい。人間の脳は環境に適応する以上に進化してしまったというのが、題名の意。

 私たちは常に、記憶があやふやなことに悩まされるが、その脳科学的なメカニズムが解説されている。さらに、そのあいまいさが、人類の融通無礙(ゆうずうむげ)な思考法に貢献していると説く。「下等な動物ほど記憶が正確」だ。どうやら、博覧強記型の人間は、動物としてはあまり上等ではないようだ(?)。

 意識の条件として著者は、「表現を選択できる」「短期記憶がある」「経験により脳の状態が変化する(可塑的)」の三つをあげている。これは議論の余地は大いにあるが、ユニークな視点だ。

 さらには哲学の分野に大胆に踏み入り、思い切った主張をしている。

 「心は脳が生みだしている」

 「身体が存在することによって、はじめて脳の機能が生じる」

 「私たちが世界を見ているのではなく、脳が(人間に固有な特定の)世界をつくり上げている」

 「自由意志(じゆういし)は潜在意識の奴隷だ」

 もちろん、これらの主張を裏付ける脳科学的な説明はあるが、学者の間でもホットな論争になっている。このような話題をスパッと提供しているのが本書の魅力のひとつだ。

 著者自身が「私自身が高校生の頃にこんな一連の講義を受けていたら、きっと人生が変わっていたのではないか」と自讃(じさん)しているが、百%賛成。生徒との対話を重ね、興味と興奮を盛り上げつつ核心を語る。これが教育の真髄(しんずい)だ。

 単に脳に関する興味を満たすだけでなく、人間とは何か、教育とは何かを考えさせる一冊だ。

 [評者]天外伺朗(作家) ≫