真珠湾攻撃から67年の式典=東京空襲の操縦士も出席-米ハワイ
【ロサンゼルス7日時事】1941年12月の旧日本海軍機動部隊による米ハワイ州オアフ島パールハーバー(真珠湾)奇襲攻撃から67年となる7日午前(日本時間8日未明)、舞台となった真珠湾で米軍兵士ら犠牲者の追悼式典が開かれた。
式典には、攻撃を生き延びた退役軍人や遺族ら約2000人が出席。攻撃が始まった午前7時55分に合わせ、犠牲者に黙とうをささげた。
米メディアによると、42年に東京など日本本土各地を初空襲したB25爆撃機の元操縦士が式典に出席し、「電撃的に展開した」と当時を振り返った。共催者の真珠湾記念館は、同湾での奇襲攻撃にとどまらず、今後は太平洋戦争全体に「焦点を合わせていきたい」と話した。
『シンセキ氏の退役軍人長官起用発表』
オバマ次期米大統領は7日(日本時間8日)の旧日本軍による真珠湾攻撃67年の記者会見で、日系3世のシンセキ元陸軍参謀総長(66歳)を米省庁のなかでは国防総省に次いで2番目に規模の大きい退役軍人省のトップの退役軍人長官に指名すると発表した。
オバマ氏は真珠湾記念日について、日米開戦当時のルーズベルト元大統領の言葉を引用して「屈辱の日」と形容したが、真珠湾攻撃が米国民に与えた衝撃と、当時の日系アメリカ人が複雑な立場に置かれた状況を踏まえ「シンセキ氏と私はハワイに生まれ育ったので、それが何を意味するのかわかっている」と述べた。
オバマ氏は日本を名指しして復讐を誓う戦中の反日スローガン『リメンバー・パールハーバー』を強調した去年のブッシュ大統領とは違い、「太平洋の脅威を撃退した」とだけ述べるに止め、先制攻撃を仕掛けた日本軍には何も触れずそのことには直接言及しなかった。
オバマ次期大統領は記者会見で、「彼は(イラクから)米軍の帰還を名誉あるものにできる人物だ」と評価した。
シンセキ元参謀総長を指名した理由については、「彼が唱えたイラクへの兵力増強が、まさに的中したからだ」と語った。
シンセキ(新関)氏はアジア系初の陸軍参謀総長で、イラク戦争を巡って当時のラムズフェルド国防長官らと対立、退任している。
注” Wikipediaにはシンセキ参謀総長の主張した兵員数が20万人との記述も見られたが、20万人ならラムフェルドの15万人計画とさほど差は無く誤差の範囲に過ぎない。
対イラク戦にアメリカ陸軍全軍の55万人を主張したために首を切られたが、戦略的に全軍の動員は有り得ない選択なので、今日のイラク情勢を正確に予想して実質的に開戦に反対した為にラムズフェルドに退任させられた。
『エリック・ケン・シンセキ(新関)元アメリカ陸軍参謀総長』
シンセキ氏はハワイ州出身で、ベトナム戦争への従軍などをへて、99年に日系人で初めて米陸軍トップの参謀総長(大将)に就いた。
1999年から2003年まで陸軍参謀総長を務めたシンセキ元大将は、「ラムズフェルド長官の天敵」と評価したほどの人物で、参謀総長在任中にラムズフェルド国防長官(当時)との間でイラク戦争の遂行方式をめぐって対立した。
シンセキ元大将は2003年に米国がイラクに侵攻する前、米国上院軍事委員会で、イラク侵攻後に統制権を確保しようとするなら数十万人規模の米軍が必要だと主張した。
ラムズフェルド長官は「15万人いれば十分だ」という自分の見解にシンセキ元大将が反論したことについて烈火のごとく怒り、その結果、シンセキ元大将は4カ月後に軍服を脱がなければならなくなった。
現在の長く苦しいイラク戦争を正確に予想したシンセキ参謀総長は、アメリカ軍は解放者としてイラク市民から歓迎されるなど安易はイラク戦争と戦後処理を想定していた強硬派(楽観派?)のラムズフェルド国防長官らと対立し、当時のウォルフォウィッツ国防副長官からは「著しく的外れ」と公然と批判され、同年6月に退役した。
『正しかったシンセキ参謀総長の見解』
一方、陸軍幹部の間では現在も支持者が非常に多く、イラクの戦況が悪化していた06年11月、ジョン・アビザイド中央軍司令官が議会証言でシンセキ氏の見解は正しかったと述べている。
イラク占領にはより多くの兵力が必要だと主張し、ブッシュ政権の強硬派の逆鱗に触れたシンセキ(新関)氏の判断について、オバマ氏は「彼は正しかった」と指名会見で述べていますが、暗に『ラムズフェルド国防長官が間違っていた』と発言した事になります。
オバマ氏は6日「彼とは国のために働いた人々への敬意を共有しているし、同じハワイの出身でもある」と述べた。
また、退役軍人に失業者やホームレスが多く、薬物乱用や不十分な医療に苦しむ実態を指摘し、「帰還兵が間違いなく敬意を払われるようにするためには、シンセキ氏はまさに適任者だ」と語った。
オバマ氏は選挙戦で、退役軍人への支援対策の重視を唱えていた。
ベトナム、イラク戦争の帰還兵らを含む退役軍人の医療、福利厚生にあたる退役軍人省トップへの日系人の起用は初めて。
上院の承認が必要だが、米政府の閣僚に日系人が登用されるのは、クリントン政権の商務長官、ブッシュ政権の運輸長官を務めたノーマン・ミネタ氏に次いで史上2人目となる。