逝きし世の面影

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リトルボーイを運んだ重巡洋艦インディアナポリス72年ぶり発見

2017年08月22日 | 軍事、外交
『広島原爆を運搬した米戦艦、72年ぶりに発見』August. 21, 2017 東亜日報

第2次世界大戦の終盤、旧日本軍の潜水艦に撃沈された米軍の重巡洋艦インディアナポリスが18日、72年ぶりにフィリピン沖の太平洋の海底約5500メートルで発見された。
インディアナポリスは、広島と長崎に投下された原子爆弾を爆撃機がある西太平洋テニアン島に運搬し、次の作戦地域に移動していた1945年7月30、敵の潜水艦の攻撃を受けた。9800トン級のこの艦艇は、魚雷2発を受け、12分後に沈没した。
沈没直後、乗務員1197人のうち約900人が海に逃げたが、最終的に317人しか生存しなかった。
米海軍史上、単一の艦艇沈没で最大の人命被害(880人死亡)を招いた最悪の惨事だった。
特にこの事件は、海軍の規律の緩みが招いた人命惨事なので衝撃が大きかった。
当時、勝利に酔っていた米海軍指揮部は、潜水艦の攻撃に脆弱な重巡洋艦を護衛もなく単独で航行させた。遭難信号が届いた3ヵ所の基地では、担当者が酒を飲んで寝たり賭けをして信号を逃した。艦艇が入港予定だった軍港では、艦艇が来なくても3日間捜索することもなかった。
結局、海に逃げた海兵のうち500人以上が6日間、太平洋を漂流し、ひどい脱水とサメに襲われて次々に死んでいった。
この話は、昨年9月、ニコラス・ケイジ主演の「パシフィック・ウォー」という映画で上映された。
インディアナポリスを発見したのは、米マイクロソフトの共同創業者のポール・アレン氏が率いる海底探査チームだ。資産200億ドル以上を持つアレン氏は民間宇宙船事業で有名だが、海底探査にも巨額を投資した。アレン氏が所有する潜水艇は海底6000メートルまで潜水が可能で、第2次大戦史に記録されている伝説の沈没艦艇をさがしている。今年3月、マルタ海域3700メートルの海底で第2次大戦中に沈没したイタリア駆逐艦を発見し、2015年3月には、日本最大の戦艦だった「武蔵」も発見した。

『第二次世界大戦で、一番最後に沈没したアメリカの大型軍艦インディアナポリスはテニアン島にリトルボーイを運搬直後に撃沈されていた』

ヒロシマ原爆を運んだアメリカ軍の重巡洋艦インディアナポリスが72年ぶりにフィリピン沖で発見されたニュースはAFPやロイターなど欧米の通信社も報じているが、何故か、この韓国の東亜日報が一番詳しく報じていた。欧米メディアは日本海軍イ号潜水艦に撃沈された米艦の乗員が1週間近くも海上を漂流して人食いザメの餌食になった悲劇を報じたくなかったのである。
去年公開されたニコラス・ケイジ主演の『パシフィック・ウォー』は少数の映画館で2週間だけ興行、映画の宣伝どころかパンフレット類も出されすじまいで終わっている。(インディアナポリス艦長は沈没した軍艦として唯一軍法会議にかけられ有罪になって除隊、その後拳銃自殺を遂げている)
静岡県・伊豆半島沖でコンテナ船と衝突して水面下に大穴があいた米イージス駆逐艦フィッツジェラルドは大量の海水が船体に流れ込んだが水密扉を閉めて船が大きく傾いた状態で横須賀に帰還した。(沈没は免れたが水密扉を閉めたので、逃げ遅れた7名が水死している)戦争を想定した軍艦は船体の隔壁によってたとえ真っ二つなってもしばらくは沈まず浮いていることが出来るように設計されている。
そもそも1万トンもの大型軍艦が、たった12分間の短時間で沈没するなど人災以外の何ものでもないが、インディアナポリスの犠牲者の多くは沈没時ではなくて、無事脱出した後の漂流中に命を失っていたのである。(有罪とした軍法会議は冤罪であり、艦長一人に責任を押し付け救助の致命的なミスを隠蔽した)

★注、
重巡洋艦インディアナポリスは第五艦隊の旗艦として沖縄戦に参加したが日本軍のカミカゼ攻撃で大破、カリフォルニア州のメア・アイランド海軍造船所で修繕して最初の任務がテニアン島に原子爆弾を運ぶことだった、
まったくの偶然だが、ヒロシマ・ナガサキの人類最初の原子爆弾をテニアン島に運んだアメリカ海軍の重巡洋艦インディアナポリスがサンフランシスコを出港した同じ日に日本海軍の潜水艦伊58(回天特別攻撃隊)も広島県の呉軍港を出港していた。
同じ日に母国を離れた両者は7月30日西太平洋(フィリピン海)で邂逅することで、アメリカ海軍として第二次世界大戦では最大の悲劇が生まれていた。
(アメリカの法律では沈没した艦船は墓場と同じ扱いで、今後発見されたインディアナポリスに対して遺骨収取とか船体引き揚げなど、一切の現状変更が禁止されている)

『今日、8月21日(月曜日)から懸案の米韓合同軍事演習がとうとう始まったが、・・・』

我が日本国のマスメディアとしては最も右寄りと言うか対米従属命と言うか、最も腐敗した産経新聞では、2017.8.21 10:51更新【米韓演習】『北朝鮮の核・ミサイルを想定した演習始まる「侵略の脚本を完成させるためだ」北は反発』と題して報じているのですが、読んで一番驚いたのは、
『【ソウル=桜井紀雄】米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)」が21日午前、始まった。北朝鮮からの核・ミサイル攻撃を想定、兆候を捉えた際の先制攻撃や反撃について、指揮態勢をシミュレーションする演習で、31日まで続けられる。』
と、このアメリカ軍が主導する合同演習が、『先制攻撃や反撃について、指揮態勢をシミュレーションする演習』と、北朝鮮が攻撃した際の反撃を、二番手に書いている。
なんと、北朝鮮への『先制攻撃』を最初(メインの目的)に持ってきているが、明らかに米韓トップの姿勢が以前とは変わっている。(今回の演習を報道で、『北朝鮮への先制攻撃』が1番目なのは、産経以外の他のメディアも共通していた)
そもそも、いくら本当に先制攻撃を考えた演習であったとしても『先制攻撃を目的にした演習だ』と発表した(相手に先制攻撃を予告した)のでは、本当に意味の先制攻撃にはならない。(相手がまったく予想していない時に行うから先制奇襲攻撃の効果がある)
日本の行った日清日露や対中戦争、対米戦争は全てが日本軍の先制奇襲攻撃で戦争を始めている。
ところが、対照的にアメリカ軍の戦争の定番は圧倒的な軍事力を背景にして、先に相手に手を出させて(先制攻撃させて)それを口実(大義名分)に開戦して、『戦争は嫌だが。→相手が先に攻撃したので仕方がない』と徹底的に叩くやり方だった。今回、先制攻撃を予告するなどアメリカの戦争の常道に反しているのである。(★注、前代未聞の『先制攻撃の予告』ですが、トランプが余程愚かなのか、それとも戦争は煙幕で、『まったく別の目的がある』と考えられる)

『なぜか連続して起きているアメリカ第七艦隊所属のイージス駆逐艦の重大衝突事故』




2ヶ月前の6月17日午前2時25分ごろ静岡県の伊豆半島・石廊崎の南東沖約20キロの地点で、米海軍第七艦隊所属(神奈川県横須賀基地)配備のイージス駆逐艦フィッツジェラルド(8315トン 長さ154メートル)が名古屋から東京に向かっていたコンテナ貨物船)(2万9060トン、全長222・6メートル)、乗組員7人が水死しているほか、艦長ら3人が負傷した。
(★注、日本領海内だが、治外法権で日本には捜査権も裁判権も無いが、相手の船を右舷側に見る米海軍イージス駆逐艦の側に回避義務があった)
日本時間8月21日午前6時24分ごろ(時差が2時間あり夜明け前の人間が一番眠い時間)横須賀基地を母港とする米第七艦隊のイージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が、シンガポール沖のマラッカ海峡でタンカーと衝突、10人が行方不明で、5人がけがをした。
今回大破したジョン・S・マケインは6月に衝突事故を起こしたフィッツジェラルドの同型艦。CNNによると今月上旬、「航行の自由」作戦に参加し、南シナ海の南沙諸島を航行していた
所属していたのも横須賀米第七艦隊のイージス駆逐艦で同じなら、時間も人間が一番眠い時間帯、衝突した場所が交通の要衝で多数の船舶が行き交う場所で、相手も自分の3・5倍の貨物船と、何から何まで丸っきり同一の衝突事故だった。

『アメリカが誇る超ハイテク兵器イージスの落とし穴』
★注、
小回りがきかない鈍重な3万トン級の大型の民間船舶と、機動力が必須条件の軍艦とが衝突する場合、6月のイージス駆逐艦フィッツジェラルドのように相手の航路を強引に横切ろうとして衝突した可能性が高いが、空の守りの要である高性能イージス艦が、本職である筈の海の守りの方は素人以下の無能力だったとの笑い話である。

何故かイージスの言葉を抜いたマスコミのニュース『米駆逐艦とタンカー衝突、10人不明 マラッカ海峡近く 』 2017年8月22日(火)日本経済新聞

世界最強のアメリカ軍が誇るハイテク最新鋭兵器であるイージス艦の初歩的なお粗末ミスの連続では、さすがに米軍首脳部も深刻に原因の究明を考えている、
(★注、なんと、米軍は全艦の運用を停止した)
ところが、メディアの報道姿勢が何か変である。
日本経済新聞の見出しを見れば明らかだが、米駆逐艦とあるだけで『イージス』の文字が無い。朝日新聞も同じで見出しには『イージス』の文字が無い。
他紙では見出しにイージスの文字がある新聞社もあるが、扱いは、明らかに小さい。(★注、2ヶ月前の前回の衝突時には、当たり前ですが普通にイージス駆逐艦である事実を報じていたのですから、なおさら今回が異様なのである)
一番権威があり信用力が高いのは活字メディア(新聞)だが、世論形成に一番影響がある映像メディア(テレビ)のニュースでは、マラッカ海峡で衝突したのは『米駆逐艦』で、イージスの文言が完全に抜けていた。
(★注、与党の近い読売系列の日本テレビとかフジサンケイグループだけではなくて、今回は朝日や毎日系のテレビニュースでも横並びで『同じ』だった)

『米海軍、全艦隊の運用停止 駆逐艦衝突受け』2017年08月22日AFP  発信地:ワシントンD.C./米国

米海軍は21日、艦船の衝突事故が相次いだことを受け、世界全域で艦隊の運用を一時停止すると発表した。
シンガポール沖では同日、ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン(USS John S. McCain)」がタンカーとの衝突事故を起こし、乗組員5人が負傷、10人が行方不明になった。
海軍制服組トップのジョン・リチャードソン(John Richardson)作戦部長(大将)はこの事故を受け、運用慣行の「包括的な見直し」を行うための「運用一時停止」を指示した。
リチャードソン氏は「知っての通り、これは3か月間で2回目の衝突事故であり、太平洋(Pacific Ocean)海域では事故が続いている」とした上で、「こうした傾向から、より強力な措置を取る必要がある。そのため、世界中の全艦隊の運用一時停止を指示した」と説明した。
米海軍では6月にも、静岡県・伊豆半島沖の通航量が多い海域を航行していたイージス駆逐艦「フィッツジェラルド(USS Fitzgerald)」がフィリピン船籍の貨物船と衝突し、米艦側の乗組員7人が死亡する事故が起きていた。
「ジョン・S・マケイン」と「フィッツジェラルド」はいずれも、横須賀基地を拠点とする米海軍第7艦隊(7th Fleet)に所属している。(c)
8月22日 AFP
★注、
海軍制服組トップの作戦部長(大将)はこの事故を、『知っての通り、これは3か月間で2回目の衝突事故であり・・・』と書いているが、前回は6月で今は8月なのであまりにもソックリな事故は2か月間で2回目の間違い。こんな簡単なことを間違うようでは類似した事故が連続するのも当然だった。

アメリカの上院軍事委員会委員長と同一名称のイージス艦

(おまけ、1)

9年前の2008年大統領選挙では共和党の大統領候補で現在は上院軍事委員会委員長(アリゾナ州選出の上院議員)のジョン・シドニー・マケイン3世(John Sidney McCain III )は、共和党右派の重鎮として軍産複合体の代表格。今回交通の要衝であるマラッカ海峡でタンカーと衝突事故を起こした横須賀基地所属のイージス艦ジョン・S・マケインは祖父の海軍提督の名前に由来して命名されているので、マケイン議員と名前が全く同一だった。



(おまけ、2)

『イーロン・マスク氏、「殺人ロボット」禁止を国連に呼びかけ』
2017年08月21日 スプートニク日本

テスラ・モーターズやスペースXの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏など、ロボット技術や人工知能(AI)技術分野の専門家100人以上が、「殺人ロボット」の問題解決にすぐさま取り組み、国際レベルで即時規制するよう国連に公開書簡を提出した。
自立型殺傷兵器システムは過激派が罪なき人々に用いるテロの武器になるおそれもあると指摘。「パンドラの箱を開ければ、閉めることは難しい」と警告している。
マスク氏はこの前にも何度も人工知能による危険性を忘れないよう呼びかけていた
(抜粋)

イーロン・マスクは8月12日にもIf you're not concerned about AI safety, you should be. Vastly more risk than North Korea.(北朝鮮よりもAIの方が危ない)とツイートしている。
同じように、『偶発戦争避ける工夫を』と題する21日付け毎日新聞オピニオン記事、『そこが聞きたい:「AI兵器」の危うさ 国連軍縮担当上級代表・中満泉氏』では、人工知能(AI)を搭載したロボット兵器が自ら判断して敵を殺す。 そんな自律型致死兵器システム(LAWS=ローズ)=1=と呼ばれる兵器の危険性を1ページの特集記事で警告していた。
(お粗末事故を繰り返すコンピュータ制御の米イージス艦の悪しき例から判断すれば)最新のコンピュータですが致命的な誤作動を起こして人類滅亡まで突き進む最悪のシナリオも考えられるのである。 



(おまけ、3)

『文大統領「北朝鮮の挑発で韓米演習の悪循環」』
August. 22, 2017 東亜日報

北朝鮮の韓国への侵略や核攻撃などを想定した韓米合同乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン(UFG)軍事演習が21日に始まった。』
~中略
『韓米UFG演習は、装備・兵力の実機動演習ではなく、コンピュータ・シミュレーションを活用した「ウォーゲーム」で行われる。』
~中略
『キム・ジョンウン)労働党委員長など北戦争指揮部を除去し、その後北朝鮮地域を安定化させる内容まで含まれる』
~中略
『軍当局者は、「北朝鮮が挑発すれば、UFG演習は直ちに実戦態勢に転換されるだろう」と述べた。』
、と最後に結論としてかいあるが、・・・
今回行われている米韓合同演習(UFG)ですが、コンピューターが『北朝鮮が挑発した』と判断すれば、即座に『実戦態勢に転換され』、アメリカ軍の最新近代兵器が北朝鮮を攻撃する。
もちろん、米軍に奇襲攻撃された北朝鮮は『座視して死を待つ』ことは無く、更迭されたバノン主席戦略官は『対北朝鮮への軍事行動は)最初の30分でソウルにいる約1千万人が(北朝鮮の)通常兵器で死亡する、(軍事的選択肢等)お話にならない』と解任直線に語っていた事実を裏付けるような今回の東亜日報の記事である。
(★注、軍事技術にコンピューターなどのハイテク兵器が多用されるようになった分、安全になるどころか今までよりも余計に予定外の『偶発的な戦争』の危険性が高まっていた)



(おまけ、4)

『イギリスが北朝鮮戦争の開戦時における支援をアメリカに約束』
2017年08月21日Pars Today
イギリスの新聞デイリースターは20日日曜、記事の中で、イギリス政府はアメリカのホワイトハウスと密約を交わし、北朝鮮への攻撃が行われる場合、原子力潜水艦や戦闘機に加えて、特殊部隊員数名を派遣することになると伝えました。
イギリスは早期警戒機E-3Dセントリー2機をアメリカ軍支援のために派遣する可能性があるが、この早期警戒機は防空システムの管制に影響を及ぼすことができ、敵の空による通信を遮断できる。
アメリカや同盟国は、北朝鮮に対する武力行使の選択肢を検討しており、選択肢の一つは、北朝鮮のキムジョンウン労働党委員長やそのほかの北朝鮮高官を標的とした攻撃で、クーデターにより権力を掌握する可能性もあるという。
(抜粋)


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1 コメント

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『後の祭の撃沈劇』 (ローレライ)
2017-08-21 11:28:18
『原爆使用後』の『後の祭の撃沈劇』で『日本潜水艦の詰めの甘さ』の象徴みたいな『後の祭』ぶりである。
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