米上院軍事委員会は11日、イラクやアフガニスタンなどで起きた米兵らによるテロ容疑者への虐待行為が、ブッシュ政権が拷問を事実上容認したことに起因するとした報告書を公表した。
国防総省は2005年、虐待が自身の政策とは無関係と発表、現場の落ち度を指摘したが、上院報告書はブッシュ政権に対し、虐待の責任を追及した。
『米軍捕虜虐待、国防長官ら上層部に責任』
キューバ・グアンタナモの米軍対テロ戦収容所やイラク・アブグレイブ刑務所などで02~04年に起きた米軍による収容者や捕虜の虐待事件に関し、米上院軍事委員会は11日、ラムズフェルド国防長官(当時)を始めとする上層部の責任を明確に指摘する超党派の調査報告書を発表した。
アブグレイブ刑務所では、米兵が収容者を裸にして皮ひもで繋ぐといった恥辱的な行為が問題化していた。
グアンタナモ収容所ではテロ容疑者を自白させる為に『水責め』などの拷問が行われていた。
報告書はまず、捕虜の扱いを定めるジュネーブ諸条約の第3条約は国際テロ組織アルカイダやアフガニスタン旧政権タリバーンの収容者には適用されない、との覚書をブッシュ大統領が02年に内密に出したことが虐待を生むことにつながった、と位置づけた。
同年12月にラムズフェルド国防長官が過酷な尋問を容認した事が原因だと指摘しました。
上院軍事委員会で「水責め」、苦痛を覚える姿勢を続けさせる、衣服を脱がす、眠らせない、などの「攻撃的尋問」と呼ばれる手法を検証。
この手法は、半世紀前に捕虜になった米兵が厳しい尋問に耐えられるようにするために作成された防衛マニュアルが逆に参考にされ、当時の国防総省法律顧問室などが国防長官の指導下で米軍の尋問方法として体系づけられていた。
これまで上層部の法的・政治的な責任は問われていない。今回の報告書には大統領候補だったマケイン議員が軍事委の共和党筆頭委員として賛同しており、ブッシュ政権の責任が改めて問われそうだ。
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アメリカ軍、CIAがアルカイダ幹部を水責め拷問 (政治 / 2008年02月10日
07・11・8上院司法委員会、は水責めを拷問と認めることを拒否している(水責め容認)するマイケル・ムケージーの司法長官指名を承認。
中央情報局(CIA)が、拘束した国際テロ組織アルカイダ幹部の取り調べの様子を撮影したビデオテープを廃棄していたことが07・12・6、明らかになった。
CIAはこれまでこうしたビデオは存在しないと説明していたが、CIAのヘイデン長官がテープを廃棄したことを認めた。
米中央情報局(CIA)が2005年、国際テロ組織アルカイダ幹部らの尋問の様子を撮影したビデオテープを廃棄した問題で、ムケージー司法長官は2日、連邦地検などが捜査に着手したとの声明を発表した。
この問題では、CIAが拷問を隠ぺいするためビデオを廃棄、当時のゴンザレス大統領法律顧問(前司法長官)らがこれを容認していたとの疑惑が浮上しており、ブッシュ政権関係者の法的責任が問われる可能性も出てきた。
ただ声明は「捜査着手が確実に刑事訴追に発展するとは限らない」とも指摘。
今後、政権中枢に捜査の手が及ぶかどうかはなお不透明。
CIAの尋問担当部門の元責任者は当時、尋問の様子を撮影されたアルカイダ幹部に大量の水を注ぎ自白を迫る「水責め尋問」を行ったことを米テレビに認めている。
また、アメリカ上院国防委員会で、ゲーツ国防長官は、アルカイダ幹部(01年9月の米同時多発テロを計画立案したとされるハリド・シェイク・モハメド容疑者ら)三人から情報を得る為に水責め等の拷問を過去に実施していたことを正式に認めた。
『米議会が拷問禁止法案可決』
07年12月13日、ブッシュ政権は国際テロ組織アルカイダの容疑者から重要な情報を聞き出せないとして反対したが、米下院本会議はアメリカの情報機関による『水責め』を禁止する法案を賛成222、反対199で可決した。犬を使った脅しや性的嫌がらせも禁じた。
やっとアメリカも18~19世紀レベルまで戻ってきたが、現在の21世紀に到達するまでには、まだまだ、多くの犠牲と長い時間がかかりそうです。
拷問を必要と考えた、立派な二百人近い議員先生の中で誰一人、自分や家族が拷問されるような事態は、想定しなかったんでしょうか?。
どういう頭の構造をしているのか不思議。?一度会って話を聞きたいような、聞きたくないような。
しかし、たった10数人が反対にまわれば、禁止法案は通らなかったということなんですね。
もちろんアメリカにとって、アルカイダは“テロリスト”という種族であって、人間じゃないんですよね。
で当のアメリカときたら、アルカイダのメンバーを平気で拷問し、 イスラエルが何をしようがほぼ全面的に支持し、イラクやアフガニスタンに侵攻している。
とすれば、アルカイダやイスラム過激派が「アメリカ人は人間じゃない」と言いたくなっても、 全然不思議ではありませんね。
CIAがアルカイダのメンバーを拷問した ビデオテープが廃棄されたのがばれたが、 拷問に加わらなかった職員?が証言しなければ、きっと表には出なかったことでしょう。
19世紀アメリカ議会で『黒人は人間か?』と大論争となる。(人間だと奴隷は憲法違反で違法行為)
なにしろ聖書で『神は自分に似せて人を創った』となっているが黒人はゴットに似ていなかった。
もう一方の、インディアン(ネイティブアメリカン)は、そもそも聖書(全ての真実が書いてあるはず)に記載が一切無かった。
現在のアメリカ議会でも、拷問賛成派が半分近くいますが、過去のアメリカ議会では黒人やインディアンを「人間以外」?と考えた議員が長い間多数派だった。
「アルカイダは“テロリスト”という種族であって、人間じゃない」
例え戦争であっても同じ人間と考えると、殺すことを躊躇う。
殺人は人にとって、最大のタブーです。
戦争だからといって、簡単には超えられない。与謝野晶子の『君死にたもうことなかれ』は明治期の商家だけに止まらず、すべての普遍的な善良な市民感情でしょう。
「○○は、人間じゃない」
これが戦争や死刑問題など、色々な問題の鍵(キーワード)になる。
『○○は、自分たちと違う。人間ではない』と宣伝することが、戦争を始める第一歩らしい。
「排除の論理 」
「自分たちと違う。人間ではない 」
自分とは異質のものを排除したいと思うことは、ある意味、 人間の普遍的な感情なのかもしれませんね。
仲間はずれをつくることで、仲間うちにいる安心感を高めるという。
しかし、人間が元々持っている、「原始的な感情を克服」することで、人間は人間らしくなるはず。
「自分たちと違う。人間ではない」という主張そのものが、 人間あるいは国家の未成熟さを象徴している。
☆★2008年3月8日米大統領 拷問禁止法案に拒否権。
【ワシントン】
ブッシュ米大統領は八日、中央情報局(CIA)が「対テロ」の名の下で行っている拘束者への「水攻め」などの拷問を禁止する法案に拒否権を発動する。
同法案は、上院が二月十三日に賛成多数で可決していたもの。
すでに下院でも通過しており、ホワイトハウスに送られていた。
ブッシュ大統領は同日のラジオ演説で拒否権の発動を明らかにし、(米国土へのテロリストからの攻撃の)「危険は、依然として存在しており、情報機関当局にテロリストを阻止するあらゆる手段を保障しなくてはならない」と拷問実施を正当化。
「米国を安全に保ってきた実績をもつやり方を米議会が放棄すべき時ではない」と主張した。
拷問禁止法案を促進してきた人権団体「ヒューマン・ライツ・ファースト」ワシントン事務所のマッシミーノ事務局長は同日の声明で、拒否権発動は「米国の国際的な対テロの努力を損ない、米国の人権分野での信頼性回復の努力を遅らせる」ものだと指摘、CIAによる拷問の「違法」性を重ねて強調した。
拒否権を覆すには、上下両院の本会議であらためて出席議員の三分の二の賛成を得ることが必要。
同法案は上院では賛成五十一、反対四十五で、下院では賛成二百二十二、反対百九十九で通過していた。
僅かに過半数ギリギリで通過した拷問禁止法案が、再可決される見込みはほとんどゼロでしょう。これからもアメリカでは拷問は続く。
政府機関が拷問を制度として行っている世界で唯一の国が、アメリカで有る事実。そのアメリカと日本が軍事同盟を結んでいる事実。
これからも、民主主義を標榜する日本の、唯一の同盟国のアメリカ政府が、おぞましい拷問を認めている矛盾は解決されない。
”注”選挙期間中にオバマ次期大統領は、虐待や拷問の禁止を表明し、就任後にグアンタナモ収容所を閉鎖する方針を公約していましたが、ブッシュ政権のゲーツ国防長官留任させるなど、選挙公約の実現が危ぶまれている。
数ヶ月前のブシュ大統領弾劾決議の委員会送致に見られるように9・11直後に一時は90%以上の支持率が今では末期症状の我が麻生内閣と同程度。
本国が批准していなくても、チリの35年前の9・11事件に関連して独裁者ビノチェット将軍をスペインが訴追してイギリスのロンドンで拘束した例も有り、米国の国外ならブッシュ政権の閣僚が拘束される可能性は0ではない。
しかしこれ等の犯罪は国際法廷では無く国内の法廷でアメリカ人自らが裁くべき性格のものです。
其の事が行われて初めてアメリカの戦争犯罪とその原因となった9・11事件の決着が付く。
多分10年以内には職権乱用などで閣僚の何人かは拘束され間違いなく罪に問われるだろうと思っています。
ようはその時に、アメリカが自分自身の膿をどれだけ出し切れるかに世界の命運が握られている。
膿を出し切って綺麗に清算し切れなければ何度でも9・11事件は再発するでしょう。
このことは大きくて二百年以上の歴史があるが、イスラエルと同じ宗教的な人工国家である米国の存在意義そのものが問われている重大事件ですよ。
国際刑事裁判所で裁いてもらいたいものです。
それだけ十分裁かれるだけの価値のある事件です。残念ながら、米国もイラクも国際刑事裁判所については批准していないので、国際刑事裁判所は裁けないのですが。