逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

戦争遺跡でもあったユネスコ世界遺産「神宿る」沖ノ島

2017年08月15日 | 軍事、外交
『悪魔が眠る沖ノ島』

一木一草手を付けてはいけない世界遺産の『神の島』は日露戦争時の日本海軍連合艦隊とロシア帝国のバルチック艦隊が激突した日本海海戦の主なる戦場であったし、第二次世界大戦では日本軍が砲台や陣地を構築して対米戦争に備えていた要塞島だった


世界遺産『沖ノ島』に残っている日本軍の痕跡

『ロシアのバルチック艦隊と日本海軍との戦跡だった世界遺産「沖ノ島」の本当の意味』
★注、
8月16日の毎日新聞『記者の目』では世界遺産沖ノ島が取り上げられているのですが、今回の世界遺産登録で大慌てで今年7月に中止が決定された年に一度だけ一般市民が沖ノ島に入れる『大祭』の日付が、実は日露戦争時の日本海海戦勝利の記念日だった事実は意識的に抜いて、不都合な真実を隠している。
毎日記事では讃岐の金毘羅さんのような沖ノ島の『森の中の400段の石段』と、一木一草、石ころ一つも手を付けてはいけない『手つかずの自然』は明らかに矛盾している事実に気が付かないのだろうか。実に不思議だ。
長く続く石段で有名な海の守り神『金毘羅さん』とそっくりな『立派な石段』が自然に出来ていたなら、まさに『神の島』である。(世界遺産『沖ノ島』では、日露戦争での日本海海戦の戦勝を顕彰するために大勢の石工を動員した大規模な土木工事が行われていた)


富士山麓で行われた陸上自衛隊の総合火力演習で、発砲する10式新型戦車=、静岡県御殿場市

『光あるところに影がある』と言うか国家ぐるみの詐欺というか、ユネスコ世界遺産の富士山ですが、巨大な自衛隊と米軍の演習場に取り囲まれている関係で、その裾野では現在でも砲弾が飛び交っていた。





立派な松陰神社の鳥居をくぐって辿り着いた先の、みすぼらしい掘立小屋がユネスコの世界遺産の松下村塾だった。日本国政府が行った特殊詐欺(振り込め詐欺)である。
日本がユネスコに世界遺産に登録して仕舞った松下村塾とはまさにテロリスト養成所だったのである。(松下村塾の塾生の中では一番国際感覚や政治見識がある伊藤博文でも、自らテロを行った事実を後年ベルリンでシーボルトの長男に懺悔していた)
吉田松陰は最初は蘭学者の佐久間象山に師事したり黒船で密航を企てたりした開国派の急先鋒だったが、一度挫折すると唐突に180度逆の攘夷のテロリズムにのめり込む。

『明治政府(長州)による、歴史の偽造』

アヘン戦争で中国(清)が自主関税権を奪われ半植民地化された経緯を熟知していた日本(幕府)は、砲艦外交の欧米列強に対して『絶対に武力行使の口実を与えない』ことを最優先していた。中国がイギリス船から麻薬を没収して焼き払ったことを咎めて、『自由貿易』を口実に僅差でイギリス議会が戦争を承認するが、外国船に対する実力行使や外国人の殺害だけではなく日本国内の大きな内戦も欧米列強の武力介入の口実になる。
過激な攘夷を主張した長州藩(松陰や玄瑞)は御所(天皇)や外国船への砲撃など危険極まりない挑発行為を繰り返していた本物のテロリストだった。
東条英機などA級戦犯の靖国神社合祀よりも、『歴史の偽造』と言う意味では、日本にとっては吉田松陰や玄瑞の靖国合祀の方が悪質であり問題点も大きい。

『欧米列強の帝国主義に徹底した平和路線で善戦した幕府の外交力』

歴史教科書では、日本は開国して自主関税権を失い、第一次世界大戦の少し前の日露戦争の勝利で日本はやっと不平等条約を改正する。
ところが本物の歴史は教科書とは大違いで、一番最初に幕府が外国と結んだ1858年(安政5年)の日米修好通商条約など『安政五カ国条約』では、なんとヨーロッパ諸国間の貿易と同じ20%以上の関税率だったのである。(同じ1858年に中国が列強と結んだ天津条約では日本の4分の1の5%の低い関税率)
関税率が20%なら十分国内産業を守って近代化が望める。
ちなみに当時の米国は北部の工業化を進めるために極端な保護主義で40%もの高関税だった。(南北戦争は奴隷制では無くて、この関税率こそが戦争の真の原因だった)この米国と対照的なのがイギリスの完全な植民地だったインドで中国の半分の2・5%である。
ところが、1866年(慶応2年)関税率改定の『改税約書』(江戸協約)で日本国は半植民地の中国並の5%に変更されて仕舞うのです。

『日本が自主関税権を失っ原因は「攘夷」で暴走した長州藩(松下村塾)の責任』

帝国主義全盛の当時の過酷な弱肉強食の世界情勢や、彼我の力関係を理解出来ない夜郎自大な吉田松陰(松下村塾)は無謀にも外国船の打ち払いを主張し、1863年長州藩はとうとう関門海峡を通過する外国船を砲撃する。
長州藩の引き起こした1864年の下関戦争の敗北で幕府は莫大は賠償金を要求され、イギリス公使のパークスに騙されて日本の関税率が20%から5%へと、列強との戦争に負けた後の天津条約の清(中国)と同じ准植民地水準に引き下げられて仕舞う。
幕府ですが武力に勝る欧米列強に対して、戦争を回避して平和裏に粘り強く、想像以上の外交力を発揮していたが、とうとう『力』が尽き果て敗北したのである。
その後、日本は不平等条約の改正には半世紀近い四十五年もの長い時間が必要だった。
暴走した長州藩の尻拭いの1866年(慶応2年)の改税約書の関税率5%ではなくて、ヨーロッパ諸国間の貿易と同じ水準だった最初の安政五カ国条約の20%のままだったとしたら、日本の近代化はもっと早く成功している。


日露戦争の日本海海戦の日本海軍連合艦隊の旗艦『戦艦三笠』を訪れた昭和天皇と皇后。(連合艦隊の旗艦は『記念艦三笠』として横須賀港に保存されている=1968年6月17日撮影)

『富士山→松下村塾→沖ノ島(日本の密かな戦争遺産)の流れなら、次の世界遺産の申請は戦艦三笠か?』

自衛隊や米軍の演習場に囲まれた富士山に、長州のテロリスト養成所の松下村塾、日露戦争の主戦場日本海海戦の『神の死ま』(沖ノ島)と続いた日本国の『世界遺産』の先にあるのは(今のように病的に極度に右傾化した日本国なら)バルチック艦隊に勝利した戦艦三笠を申請する可能性まで出てきたが、まさに英国風の腹立たしいブラック・ジョーク(悪い冗談)である。(漁師だった私の祖父は出漁中に台風に遭遇して船が難破、漂流中に全員が死亡する中で一人だけ三笠に救助され命拾いしていた因縁がある)



『731部隊や、千島や樺太の対ソ戦争など、72年目の8月15日「敗戦記念日」直前のNHK放送』

8月13日放送の NHKスペシャル『731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』は必見ではあるが、30年も前の1980年代の森村誠一『悪魔の飽食』をゴールデンタイムに一般大衆向けに放送したことに意義がるだけで、内容的には日本人の『常識』の範囲にとどまっている。
731部隊とは京大など日本の科学者の超エリート集団であり九州大学など地方の帝大は参加していない。敗戦後は米軍に研究資料を提出して免責され、その後は学長とか学部長等のエリート街道を進み、薬害エイズのミドリ十字なども731関連の事件だった。
現在の軍学共同研究推進とも同じ流れで、731部隊に日本の医学者トップが加担したのは当時の『国民世論だった』とNHKがはっきり指摘していたところは秀逸だった。

『怖ろしい日本のタブー中のタブーを取り上げたNHKの勇気(変心?)』 
★注、
一億玉砕の地獄の本土決戦を目指していた日本が突然その決意を翻してポツダム宣言を受諾して無条件降伏した原因とは、トルーマンの『100万人の米兵を救った原子爆弾』の神話か、それとも原爆投下と同じ時期に行われたソ連赤軍の対日参戦の二者択一。それ以外に日本が翻意した原因は無いのである。
ところが、原爆とソ連参戦のどちらが真実であっても、あまりにも結果が恐ろしい。そこで、日本人の全員が思考停止に陥って仕舞い、全ての真実はタブーとして封印して現在に至っている。
(8月15日の玉音放送『天皇聖断の神話』で誤魔化しているが、本当に負け戦で戦争を止めるだけの絶大な権力がヒロヒト天皇にあったとしたら、開戦責任を問われ死刑になった東条首相以上の最高責任者だったことが自動的に証明され、東京裁判で『絞首刑』は到底免れないのである)

樋口 季一郎陸軍中将 第5方面軍司令官兼北部軍管区司令官

『日本の敗戦後も、住民を盾に「全員戦死まで」対ソ戦争を強いる札幌方面軍の樋口司令官の卑劣さ』

731部隊を放送した翌日の、2017年8月14日(月) 午後8時00分『NHKスペシャル「樺太地上戦 終戦後7日間の悲劇」』の方が多分、類似の報道が今まで一切無かったのですから大問題である。
NHKの番組案内から、
『北海道の北に広がるサハリン。かつて「樺太」と呼ばれ、40万人の日本人が暮らしていた。昭和20年8月、終戦後にも関わらず、住民を巻き込んだ地上戦が1週間にわたって続き、5000人とも6000人とも言われる人たちが命を落とした。なぜ終戦後も戦闘は終わらず住民の被害が拡大したのか。長年沈黙を守ってきた元住民たちの証言、そして国内外で発掘した資料から、樺太の悲劇に迫る。』
2017年8月18日(金) 午前1時25分(45分)に再放送

『日本が敗戦したはずの「玉音放送」翌日の8月16日に樺太師団に届いた「死ぬまで戦へ」の札幌方面軍の理不尽な玉砕命令』

多くの日本人が知らない、もう一つのオキナワ戦(地獄の本土決戦)

『玉音放送』で武装解除の準備を進めていた樺太師団の本部に、終戦後にもかかわらず『樺太を死守せよ』との命令が札幌方面軍司令官から届いた。
命令を受けた樺太師団の鈴木康参謀長(大佐)は戸惑い『泣いて終戦命令を下し各隊が涙と共に実行中の16日午後 軍命令が届いた。今頃何事ぞと怪しみ考えてみたが合点がいかない。電話で作戦就任に尋ねる。はっきりした回答は得られない。』
樺太死守の命令を守り戦闘を続ける樺太師団の鈴木参謀長とソビエト軍との交渉が決裂。8月20日、ソビエト軍は樺太で最大の3万5000人が上陸作戦を敢行。日本側が5000~6000人が死亡する。
『樺太死守』を命じていた札幌方面軍は、大本営の指示を受けて8月22日になって命令を翻して『ただちに停戦せよ』と樺太師団に命令したので、ようやく停戦が成立、7日遅れで意味不明の不思議な戦争がやっと終わっている。

金子勝‏ @masaru_kaneko
【アベの「国を守る」の本質】
終戦後のカラフトの対ソ戦闘の歴史を昨夜のNHKスペシャルで放映。住民に犠牲をしいた沖縄戦と同じ、
札幌方面軍の司令官が住民を盾に「全員戦死まで」対ソ戦争を強いる。「国民を守る戦争」の隠されていた歴史の真実だ。

金子勝‏ @masaru_kaneko
【失敗の本質】
歴史家の保坂正康は、「日本軍の最も下の人は責任を感じるが、命令を出した政治家・軍人の責任は恐ろしいほど欠けている。日本に最も欠けている」。ポツダンム宣言受諾後、住民を盾にしながら文書を焼いていた大本営は、証拠文書を消去し証人喚問を逃げる今のアベ政権と完全に重なる

金子勝‏ @masaru_kaneko
【終戦記念日】
原発事故後の経産省・東電経営者に続いて、森友・加計・日報問題で、政治家・官僚たちはひたすら責任逃れのために、証拠文書を隠し、証人喚問で逃げ、メディアを使い大本営発表を繰り返す。その姿は、戦争末期の軍部とそっくりになってきた。1億総活躍=1億総玉砕はごめんです。

『8月15日の敗戦後に(自分たちが日本本土に逃げる時間稼ぎに)対ソ戦争を継続した日本軍司令部』
★注、
誰でも知っている8月13日放送のNHKスペシャル『731』には沢山の知識人が反応した。
ところがである、・・・対照的に翌日の14日放送のNHKスペシャル『放送ドキュメント。忘れられた戦場、・・・樺太40万人の悲劇』に対しては、あの『バブルの崩壊』をマスコミ御用達経済学者の中で唯一事前に指摘(予言)した金子勝ただ一人なのですから情けない。
満州でも樺太でも千島でも同じで、ポツダム宣言受諾後に部下の将兵に『最後まで戦うべし』との命令を残して司令官や参謀など日本軍幹部は飛行機で本土に逃げ帰って仕舞い、残された一般市民や下級将校や下士官など敗残日本軍は無理やりソ連軍と死ぬまで戦わされた、(ポツダム宣言に違反する)明らかな戦争犯罪なのである。
(731のその後の推移で明らかですが、日本軍幹部はアメリカ軍には進んで降伏し立身出世している。ところがソ連軍に日本軍幹部は降伏したくなかったのでポツダム宣言受諾の後も戦争を意味なく継続し、大勢の一般市民や将兵に対して命の犠牲を強要したのである)


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1 コメント

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『長州の下関敗戦で関税権喪失』 (ローレライ)
2017-08-15 15:29:12
『長州の下関敗戦で関税権喪失』は教えない『長州正当化史観』の日本政府の教育政策。
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