日経6月16日「北欧加盟トルコなお強硬」 ①両国によるクルド系組織支援を理由に拒否権をちらつかせるトルコ→ただのクルド系組織ではなく、スウェもEUもテロ組織に指定するPKK への支援はおかしいというのがトルコの主張
②加盟はすんなり認められるとみられたがクルド支援しているとトルコが異を唱えた→両国加盟申請の話が出た瞬間からトルコは条件を明示。スウェーデンが1984年、EUは2002年にテロ組織に指定しているのに活動は野放し。トルコの反発はそこにある
③非合法組織PKKの武装闘争で計四万人が死亡してトルコのアレルギーは強い→これは主に90年代までで、死者はトルコ、クルド双方に出た。これだけの犠牲を出したテロ組織に「アレルギー」とは不適切。国際テロ組織PKKの戦闘員は投降しない限り攻撃対象。米国のアルカイダと同じ扱い
④スウェーデンの低姿勢にもトルコはなお納得していない→これまでトルコの要求を無視して、NATO加盟問題が出たら低姿勢になった国をトルコは信用せず。トルコはNATO拡大に反対しないが、加盟国の安全保障上の懸念を払拭する証拠を文書で出すよう要求中。低姿勢なのにゴネるというくだらない話ではない
⑤専門家は最終的にトルコも2国の加盟を認めるとの見方が多い→記者はヨーロッパ寄りの専門家にしか取材していないだろう。安全保障上の懸念については妥協出来ないという専門家が多数。スウェーデンがトルコの懸念を理解して適切な対応をすれば反対しないとトルコ政府は一貫して言っている。
欧米のトルコ嫌悪には長い歴史がある
19世紀以降、オスマン帝国の領土を分割し支配しようと企てた英仏は、民族主義を憎悪の道具として使った。第一次大戦で領土が分割されると、アラブ、トルコ、クルドなどの「民族」は各々独立を目指した。結果的に列強を追い出して独立を達成したのがトルコ人だった
1923年、戦勝国側とローザンヌ条約を結びトルコは独立にこぎつけた。結果として、強烈なトルコ民族意識に裏打ちされた国民国家となり、フランスの世俗主義を真似てイスラムを公的領分から排除した。自分はトルコ人ではないとするクルド人達の民族アイデンティティは否定された。それがクルド問題の端緒
ロシア、トルコ、イランが内戦後のシリアに関して協議するアスタナ会合声明では、①シリアにおけるクルド自治領域は認めない②PKKとそのシリアの兄弟組織YPGによる隣国への攻撃は容認できない。③アルカイダ、IS壊滅に向けた作戦を継続する。イラクのクルドメディア報道
ウクライナ問題で、欧米の制裁に応じず、等距離を保つトルコに対するアメリカやEUからの嫌悪は強まっている。日本のメディアも、実態を知らないままこの見方に追随
トルコはスウェーデン、フィンランドのNATO加盟に同意
NATO事務総長を含む四者会談後に交わされた合意文書を読んだところ、スウェとフィンは完全にトルコの要求を飲み、クルド武装組織PKKがテロ組織であり、派生する組織の活動を禁止するための法を7月1日から施行すると約束した
トルコが同意したためフィンランドとスウェーデンのNATO加盟は実現の見通しだが、両国が約束を履行するかどうかは疑問。特にスウェーデンは、国内のPKK関連組織が大きく国内政治にも影響力を持つため、トルコの要求を呑んだことで、下手をすると政権が崩壊するかもしれない。与党は実は安定していない
合意文書を読む限りトルコの外交勝利
しかもシリアのクルド武装テロ組織を支援してきた米国はテロ組織の二重基準で顔色を失う。スウェーデンとフィンランドの加盟承認で、NATOのダブルスタンダードが際立つ結果に(★注、イスラムやトルコに親近感を持つ同志社大学教授内藤正典のTwitterから抜粋)
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シリアとウクライナ紛争が連動「離合集散は世の常」だが・・・無責任アメリカの唐突な傀儡クルド「切り捨て」の暴挙
クルド武装組織は事実上米軍傭兵組織なので、今回の北欧2カ国新規加盟でアメリカやNATOがトルコの言い分「丸のみ」とは去年8月15日のカブール陥落(アメリカ軍の夜逃げ)と同じで一夜でアメリカ傀儡軍を見捨てる無茶苦茶。本来なら大騒動必至だが世界中のメディアが全員沈黙する不思議??普通に考えるなら2月24日の不可解なロシア軍ウクライナ侵攻の不思議な騒動以上に世界に対して大きな変化をもたらす大事件である。
周辺諸国は全員が喜ぶアメリカのクルド切り捨て(ただし、イスラエルだけは困る)
ひょっとすると順番が逆で、あくまで民族自決「独立国家」に拘るクルドの「切り捨て」が主なる目的で→北欧2カ国NATO加盟が画策されたとした方が辻褄がピッタリ合う。クルド独立で中東は間違いなく大混乱に陥るのでアメリカ政府も本音としては(勝手にシリア東部を不法占領する米軍としては困るが)そろそろ「終わり」にしたいと思っている(★注、アメリカ軍やCIAが極秘に支援していたアフガンのムジャヒディンやシリアのISISイスラム国よりも、クルド人の方が遥かに強力な支持基盤を持っている)
そもそも米軍のクルド軍事支援中止はトルコ政府(エルドアン大統領)だけではなく(反政府的なクルドをかかえる)シリアやイラク、イランなど周辺の中東諸国全員が喜ぶのである。(★注、周辺の中東諸国が混乱して政府が弱体化することを願っているイスラエルだけが密かに心配している)
実力者エルドアン排除(トルコ弱体化)を目論む同盟国アメリカ欧州諸国の本音
2016年7月15日、親米派トルコ空軍クーデター失敗の教訓からロシア製対空ミサイルS400導入のトルコをアメリカなどが制裁。2016年、2018年に続き3度目の2019年トルコ軍はアメリカが支援するクルド武装勢力討伐で国境を超えシリア北部に進駐。現在もシリア北部占領を継続したことでEUが武器禁輸など二重の制裁をトルコに行っていたのである。
ロシア軍ウクライナ侵攻の2月24日からメディアや有識者が「国連憲章を踏みにじる極悪非道な暴挙」など最大限の形容詞でロシア(プーチン)を非難する大合唱を行っているが、3年前の2019年10月19日から現在も延々と続くトルコ軍シリア侵攻を唐突に忘れたらしい。
アメリカと同盟するEU諸国(NATO)とかオーストラリアやニュージーランド日本など西側の特定地域限定で唐突に同時多発した謎の流行性の集団痴呆症である。まあ、まだらボケの居眠りバイデンは「忘れている」可能性もあるにはある。ところが知的エリートであるか各国政府やリベラルメディアや有識者が「忘れる」ことは有り得ないので単に「忘れたふり」で胡麻化しているだけ。そもそも日本やアメリカからはシリアもウクライナも遠いので何が起きても影響が小さい「他人事」だが、逆にEUにとって両国は最も近い隣国だったので直接影響する。今回の度外れた厳しい対ロシア経済制裁で近隣の欧州諸国がもろに「返り血」を浴びるころになるのは当然だったのである。少しも不思議でない。
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【名言】中国外務省スポークスマン趙立堅:米国の敵になるのは危険だが、友人になったら破滅だ
NATO加盟国トルコは欧州諸国最大の兵力を有するアメリカに次ぐ№2の国家だが「同盟国だから大事にされる」と思っているのは今の徹底的にお人好しの日本人だけ。主君の織田信長を殺した明智光秀とか豊臣家を滅ぼした徳川家康のように、天下を取ったアメリカにとって一番の脅威とはナンバー2国家。アメリカは20世紀にWW1とWW2と二回連続でドイツを叩き、WW2の同盟国だったソ連を完全に破壊し、冷戦崩壊後に経済だけは№2だった日本は現在ボロボロになっている(★注、政権を取る前の鳩山由紀夫は日本を動かしているのは首相だと思っていたが、首相になってみると日本政府の上に「日米委員会」が存在することに気が付いたという)
トルコの濡れ手に粟の「一人勝ち」米軍の「クルド切り」で笑いが止まらないエルドアン大統領
非キリスト教(イスラム)のトルコは日本と同じ「名誉白人」扱いだが同盟国アメリカやEU(NATO)からは色々な「嫌がらせ」を受けていたのである。ところが、当然今回の「クルドのテロ組織認定」の再確認でトルコ制裁が見直され、しかもNATO全加盟国の議会の承認には今までとは大違いで(★注、去年のアフガンと今年のシリアと、2年連続で全面支援した傀儡軍をあっさり見捨てた)唯一の覇権国家アメリカの威光が地に落ちた状態なら各国がそれぞれ自分勝手に「国益」を言い出す。
日本のような米国追従一本やりは常にアメリカに突然切り捨てられる危険が高いので、少しでも知恵があれば二股のバルカン外交が今後は世界の外交の基本になる。(★注、アメリカと敵対するのは危険だが、アメリカとの同盟を信用すると足元をさらわれててもっと危険性が高まる)
しかも主従関係の不平等日米安保とは大違いで、民主主義が建前のNATOは満場一致が基本原則なので、これでは到底今までのように簡単には通らない。何年もかかりそうでNATO自体が崩壊しそうである。大騒ぎした挙句に冷戦の残滓NATOがフェイドアウト。9・11のイスラム嫌悪でトルコの加盟を拒否したEUもイギリスに続き次々フェイドアウト、流れ解散になるグレートリセット(ニュー・ノーマル)
伊勢崎賢治@isezakikenji人道的配慮からウクライナ避難民を受け入れる一方、同じ人道的配慮で受け入れてきたクルド民をテロ対策という名の下に追放する。唾棄すべき”ディール”はなされました。
人権外交が看板のフィンランドとスウェーデン北欧2カ国NATO加盟でロシア叩きに見せかけて、密かにアメリカとしては厄介な「お荷物」と化した米軍傭兵組織クルド武装勢力を切り捨てるとの、今回の「人道的配慮」を口実にした複雑な玉突きのような「筋書き」を描いたと思われるキッシンジャーの桁違いの素晴らしい悪魔的「悪知恵」には感心する。その手際の良さに批判どころか、天晴れな策略にもはや脱帽するしかない。
知的エリートの全員を騙して密かに交換する「唾棄すべきディール」
同じ人道的配慮の名目で、今回ウクライナとクルドが闇取引され「二つを交換した」困った事実は明白だが、何故かリベラルメディアや有識者の全員が沈黙しているのが不気味。その唯一の例外が自衛隊幕僚学校の元教官で「悪魔とも取引する」が信条でアフガン軍閥の武装解除に成功した伊勢崎賢治だけとは不可思議である。
今回伊勢崎賢治が指摘しているように、なにもクルド人でなくとも普通の常識ある大人なら真っ先に気が付く優先事項。ですから今回伊勢崎賢治以外の有識者全員が気が付かないのではなく、恐ろしいタブー中のタブーなので「見ざる言わざる聞かざる」「知らぬ存ぜぬ」で胡麻化しているのでしょう。(★注、本当に気が付かないとすれば思いっきり甘やかされて育った子供か単なるお馬鹿)
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北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で発言するバイデン米大統領=6月29日、スペイン・マドリード/Susan Walsh/AP
米国人の大多数「国は間違った方向に向かっている」 世論調査
2022.07.01 (CNN)
党派を超えて大多数の米国人が米国の現状に不満を持っていることが、最新の世論調査で明らかになった。
現在、共和党支持者の92%、民主党支持者の78%が国の方向性に不満を持っており、民主党支持者に関しては昨年バイデン氏が大統領に就任して以来、最も高い値となった。
バイデン氏の評価は依然として芳しくない。6月後半に実施されたCNNの基準を満たす5つの無党派の全国調査の平均値では、米国人の38%がバイデン氏の仕事ぶりに肯定的で、57%が不支持だった。
(抜粋)
★注、2022年11月3日アメリカ大統領選で居眠りバイデンが歴史上初めての8000万票を超えたと米民主党やリベラルメディアが発表。現職アメリカ大統領として史上初めての7000万票を得たドナルド・トランプ大統領を破ったことになっているが新コロ騒動下の郵便投票インチキは明らか。
(( 米当局の温暖化対策を制限 最高裁が判断 バイデン政権に打撃 2022/7/1 21:07 ))
米連邦最高裁は6月30日、地球温暖化対策として発電部門全体の二酸化炭素(CO2)排出量を規制する権限は環境保護局(EPA)にないとの判断を示した。エネルギー転換の影響を受ける石炭産出州などが施策に反発し、提訴していた。温暖化対策を最重要課題の一つとするバイデン政権(民主党)にとって打撃となった。
判断には最高裁判事9人のうち保守派6人が賛成、リベラル派3人が反対した。保守派のロバーツ長官は多数派意見で、経済的影響が広範囲に及ぶ規制の導入には、法律が行政機関の権限をはっきり規定していることが必要だと指摘。EPAが依拠する1970年の大気浄化法は、発電部門全体を縛るような権限を与えているかどうかが「明確でない」とした。
訴訟で争われたのは、2015年にオバマ政権(民主党)が打ち出した規制「クリーン・パワー・プラン(CPP)」。主に石炭を使った火力発電から風力発電などに転換し、CO2排出を削減することを各州に義務付けた。(共同)
”Nuclear family: How Ukraine helped North Korea develop the world's deadliest weapons
Experts point out the Ukrainian roots of Kim Jong-un's rocket program” 1 Jul, 2022 16:21
「核ファミリー:ウクライナが北朝鮮が世界で最も致命的な兵器を開発するのをどのように助けたか
専門家は、金正恩のロケット計画のウクライナのルーツを指摘します」
https://www.rt.com/russia/558214-ukraine-helped-north-korea/