上司が部下に『命令』する事があるが、簡単に使って良い言葉ではないと思うのだ。 『命令』とは、その字の通り『命に従う令』の意である。 何かをやらせるならば、ただの『令』で良いはずなのだが、『命』という文字が入っていると言うことは『命をかけて果たすべき令』という意味なのではないだろうか。 より重要度が増す表現だが、命は軽んじて良い物ではない。 自分の命はどうしようと自由だが、他人に命をかけさせるほどの令などあるのだろうか? 同じ生き物の分際で人間社会における名目上の上下関係だけで命令するとなると、これほどおこがましい表現はない。 いわば差別にも値するのではないか。 令を遂行できなければ死ねと言っているのと同じだ。 戦時中ならともかく、現代で命令を口にするのは避けたい。 せめて『指令』とか表現を変えて言うべきなのではないだろうか。 ただ辞典では指令も命令も同じ意として扱われている事から、大して気にする必要はないのだろうが、それでも『命』の文字が使われている意味を今一度考えたいものだ。