前回の続き。
見る場所見る場所、初めてのスペイン グラナダの地で、完全なる迷子。
道行く人もまばらで、宿の場所を尋ねる意欲も失せつつある時に、前方から来る現地の老紳士に話しかけられる。
語学力の乏しい私に、その老紳士は英語で、
『こんな路地裏に、大きなリュックを背負って、君は旅行者なんだろ?
どうしたんだい、悲しそうな顔をして、道に迷ってしまったのかね???』
って事は一切言ってませんし(笑)、言われても私は理解できないけれど、
心配しているということが十分わかるほどの一言を。
『Are you lost?』
(君は迷子になってるのか?)
と。
私は彼の言葉に答えて、
『シィ.』
(スペイン語:はい。私、迷子でございます。)
白髪の、小柄な老紳士、ツイードのコートを羽織っていて、身なりはけして怪しいとは思えない。
どちらかというと、言葉どおり『年老いているけれど紳士』たる風格の持ち主。
私の中には旅をするときある一定の法則があって、道を尋ねる時は、
『同年代の女性か、年配の人は、不慣れな旅人を騙したりしないだろう。』と思っている。
なので、今、目の前の優しい老紳士2人組が話しかけてくれて事は、天の恵みのように感じ、
宿の住所を書いたメモ帳を見せながら、勇気を出して老紳士にスペイン語で尋ねてみた。
『キエロ イール アキ.』
(メモ帳を指差しながら『この場所に行きたいです。』)
宿の場所を知っているらしく、2人組の老紳士の一人が宿まで案内してくれる。
宿へ歩きながら、彼は英語とスペイン語を混ぜ、
『どこから来たんだい?』
『ホホォウ、ハポンからかね。』
(ハポン=スペイン語で日本)
『僕はね、フランスとイギリスに友達がいて、フランスに行ったことがあるんんだよ。
日本にも友達がいるよ。でも、日本はまだ行ったことがないんだ。』
と話してくれ、あっという間に宿に到着(どうやら私は、宿から近い場所をグルグル迷子になっていたみたい)。
私は老紳士に、何度も『グラシャス.グラシャス.』(ありがとう。)と伝え、 彼はにこやかに去っていった。
道に迷い、ほとんど旅行者を見かけない時期で、だんだんと一人旅の孤独と冬の季節の
どんよりとした日差しに、意気揚々と好奇心を満たすための旅に出た事を後悔し始めていた中、
この出会いに、前向きに頑張る気持ちが出てきて、宿の入口のインターホンを押す。
名前を告げたら、玄関のロック解除の音が聞こえたので、中に入る。
誰もいない。。。
エレベータに乗り、宿があるフロアで降りると、受付。
ネットで予約していたので、名前を告げて、チェックイン(2009年現在で、1泊29ユーロの宿)。
(スペイン周遊2週間の予約宿は、1泊ほぼ3000円前後で、今から思えばかなり高額だったけれど、
利用者のコメントが良く、安心して泊まれる宿を選んでます。)
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スペイン南部 アンダルシア地方と言っても、1月のスペイン。
室内にいても肌寒いので、エアコンを早々につけ、部屋を観察。
かなり、いい宿(ホテル)でございます。
知らない土地で、言葉も通じない国。
その場所に、見たい風景や、まだ経験したことのない何かを求めていくことを冒険と呼ぶのだとしたら、
好奇心の中、不安や孤独も全部ひっくるめて、30歳を越えて中年に片足
遅咲きだけど、これからまだまだ冒険したいと思っている。
冒険は、時に危険で、自己責任という言葉が伴うけれど、始めて運転免許証を手にしたときのように、
今までの生活から、さらに世界が広がっていく、日常生活の延長線上にあるものだと思う。
海外旅行に限らず、新たなるモノへ挑戦したことで、命を落としてしまうこと多々あるけれど、
有名、無名に関係なく、偉業、前人未踏の挑戦にも関係なく、希望や好奇心を持って一歩踏み出した人が、
今もたくさんいて、先人達の一人一人に忘れられない物語や風景、心情がある。
一人旅をしていると、なんだか、そんな先人達の仲間入りを果たせたような気がして嬉しくなる。
膨大な旅人のブログや、たくさんの旅の書籍の中には、憧れる旅の冒険ストーリーやテンポ良い文章が繰り広げられ、
旅に出れば現地人との素晴らしい出会いに巡り合えるかのような錯覚になるけれど、実際はその人の持つ『運』という才能。
人脈に恵まれている才能は、『出会いを楽しむ事』から始まる気がする。
語学力が重要だと思いながらも、相変わらずあいさつ程度しか話せない私は、言葉の壁を手持ちの『会話帳』を見ながら、
今日も、通行可能な小さな扉を一つずつノックしながら通る。
ほんの些細な出会いの中で、言葉が伝わらないことどちらかというと多くあるけれど(^д^;)、
伝わった時の感動と笑顔の出会いを求めて。
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