福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

終の棲家

2019-09-09 19:07:45 | 日記
 広島市内の特別養護老人ホームに入っている隊員のばあちゃんに会いに行った。御年90歳で肺がんを患うばあちゃん。今年初めまで市内で在宅介護サービスを使いながら1人暮らしをしていたが、汚物まみれでぶっ倒れていたり、認知症の兆しが強まったりしたため、施設のお世話になることにした。
 全国に「特養の入所待ち」が約30万人もいる中、ばあちゃんもご多分に漏れず「待機児童」ならぬ「待機ばあちゃん」。ショートステイを延長するという裏技を駆使しながら(といっても一般的には常習だが)過ごし、ようやく空きベッドに滑り込んだ。終の棲家といわれる特養。ばあちゃんが入れたということは、誰か1人が亡くなったということだけど。
 3カ月前は車椅子で施設内をうろうろしていたばあちゃんも、体調を崩したのをきっかけに今はほぼ寝たきり。ずいぶんと痩せていた。でも、気に入らないやつに悪態をつくほど、話はしっかりできる。まあ、随分前に死んだじいちゃんを「最近、見かけんのんよ」と真剣に不思議がっているけど。
 ばあちゃんが暮らしていた一軒家は、戦後の再開発の「替え地」であてがわれた団地にある。「福富道の駅にある大型遊具の滑り台かよ」ってぐらい傾斜の強い坂道を上った斜面だ。
 当時は「最先端」の団地住まいだったのだろう。今や住民は年老い、傷みが進む家も目立つ。ばあちゃんのうちはどうしよう。「老老介護」に頑張ってくれている隊員の母親としばしば話すが、結論は出ない。
 「ほんま顔を見んけど、どしたんかの」。亡きじいちゃんのことを真顔で話すばあちゃん。自宅からさらに山を登った寺にあるじいちゃんの墓に、ばあちゃんはもう何年も参っていない。




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