「ネガティブなヒプノティック・リズムから抜け出すにはどうすればいいんですか?」
「仕方がないが教えてやろう。
否定的なヒプノティック・リズムから抜け出すことができるタイミングがあるんだ。
それが失敗した時だ。
もしくは逆境に立たされた時なのだ。
本当はあまり言いたくないのだが…
失敗は恵に転換する大きなチャンスなのだ!
人間は失敗した瞬間、ヒプノティック・リズムの呪縛から解放されリセットされる。
そこから、一からやり直すことができるようになるんや。」
「じゃぁ、失敗すれば、その否定的なヒプノティック・リズムから抜け出せるということですか?」
「それは違う。
みんながみんなそうとは限らんねんや。
失敗や逆境の中にチャンスがあるということにすぎない。
そのチャンスに気づけなあかん。
気づけなければ、それまでのヒプノティック・リズムはその後も繰り返される。
ただ、逆境や失敗の中には必ずチャンスがあることには間違いない。
矛盾しているようだが、絶望が限界点を超えると、恐怖が払拭される。
人間とことん追いつめられると怖いものがなくなる。
そのとき、別の方向に進みだすことができやすくなる。
なので、失敗や逆境が大きければ大きいほど気づきやすくなるで。
絶望は、まさに絶好の好機や。
失敗を失敗と認めないとき、チャンスは見つけづらいやろな。
失敗を自分のものと受け入れると、今までとは違った道を模索するようになり、それまでのヒプノティック・リズムから解放されやすくなる。」
「ということはつまり、自分のそれまでの思考とか行いが、今の自分や自分の環境を決めているということですか?
運とかでこうなったわけではないのですか?
偶然ではなく、必然的に今の状況なのですか?」
「運なんかあるわけないやろ!
人間が自分たちの理解できない状況を運と呼んでるだけや
現実の裏にあるのは常に原因なのだ
実際には原因と結果があまりにもかけ離れているように感じるから、運のせいにして説明できた気になっているだけのこと。
すべて必然で物事は起こっとるんや。」
「それにしてもあなたは何故、対抗勢力、すなわち全能の神を支配しないのですか?」
「我々はな、プラスの電子とマイナスの電子のようなもんやねん!
電子が存在するには、マイナスとプラスのバランスが完全に取れてないとあかんからな。
いわばにらみ合いの状態にあんねんな
もしこのバランスが少しでも崩れたら、宇宙は崩壊する。」
「もしそれがガチなら、あなたも全能の神に匹敵する力を持っているということですか?」
「まあ、半々やからな。
そうやねと言うとるがな。
善と悪は同時に存在しており、どちらも同じように重要なものだ。
ジョージアの缶コーヒーのキャッチフレーズにあったやろ。
このろくでもない素晴らしき世界って。
つまり、ジョージアの缶コーヒーは完全ということ。
だから、ジョージアの缶コーヒーみなさん買って!という宣伝や。」
「じゃあ成功するか不幸になるか、それも必然ということですか?」
「そうだ。
すべては自分の思考が原因としてある。
全ての人間は思考において全くの自由。
その変わり自分の思考に責任がある。
無責任に思考をすれば、無責任な人生が展開される。
そいつらのセリフはたいがいこうだ。
なんで、自分はこんなつらい目にあわなければならないの?
あいつのせいだ、社会のせいだ、政治家のせいだ、と…
まぁ、政治家のせいは少しあるかもな。
あの増税眼鏡は、わたしの良いエサとなっている。
とはいえ、お前の中にある恐怖心が、増税眼鏡を創造しているわけだから、やはりおまえの思考に帰結する。
つまりは、全て自由であり自己責任というわけだ。
話はそれたが、わたしたちに選択の自由はない。
わたしは悪魔であり、対抗勢力は神でなければならない。
おまえたちは完全に自由だ。
この特権におまえたちは気づけていない。
思考が原因であり、現実がその結果だ。
つまり、どんな現実をつくるかはおまえたちの思考次第。
おまえたちは実はとてつもない力を持っているんや。
と言っても気づけんやろが…
まぁいろいろ失敗してみ。
なんか気づくやろから。
ほな。」
「ありがとうございました。
神様にもよろしくお伝えください。」
そして再び悪魔は人間たちをヒプノティック・リズムに陥れる仕事へと戻っていった…