七月二十七日 日曜日 快晴 気温二十度
五時十五分に目覚めれば
陽光のウトロの野に降り注ぎて
その余光の宿の窓より
部屋に射して
心の水面に反射するも
いとうれし
湯に入り朝餉をいただけば
八時四十分
二泊したる宿に別れを告げて
いざ出発となる
けふは
ウトロより西へ向かひて網走に至れば
一路南下して美幌より峠を越へて
屈斜路を目指さん
九時
知床八景なる
オシンコシンの滝を見上げれば
青き空より
屏風となりて
落ちる水の
真白ける飛沫の
わが身にかかりて
嗚呼
清らかなり
嗚呼
涼しきこと限りなし
国道344号線を一路西へ走りゆく
白雲はかなしからずや空のあを斜里岳の青にも染まずたなびく 丹人
*斜里岳:1547m
十時二十分 小清水町に入れば
左に濤沸湖の見へきたる
右には砂丘に花咲き乱る原生花園なり
昭和天皇の御製を刻みし碑の
みつうみのおもにうつりてをくさはむ牛のすかたのうこくこともなし
(昭和二十九年)
を仰ぎつつ濤沸湖を見やれば
湖に向かひて草を食む馬のたてがみに吹く涼風の色 丹人
原生花園を歩けば
エゾフウロ(ハマフウロ)やエゾカワラナデシコの花
またクサフジやエゾキスゲの咲くは
いと美し
ハマナスは花の盛りを過ぎて
花のいたみはじめるもの多けれど
ハナアブはかなしからずやハマナスの花のあかにも染まず蜜吸ふ 丹人
十時四十分 花園を発して
網走を指して西に車を走らせれば
十二時 網走の街に入りぬ
網走は新町の「かね久」にて茶蕎麦をいただきて
郷土博物館を見学す
明治よりの北海道開拓の資料を観て
深く感づるものあり
午後一時三十分 網走の街を後にして
国道三十九号線を南下し
美幌の街にて国道二百四十三号線に入りて
ゆるやかなる上りの道を走り行けば
三時二十分 美幌峠に到着す
嗚呼
ぐるりと四方を見下ろすこと可なる
この峠の雄大さよ
東を見れば
屈斜路湖の水の静かにして
北東の空のあをが中に
斜里岳のほのかに浮かびて
噴煙をなびかせるがごとく
白雲のかかるも
いとをかし
峠より見れば美空も斜里岳も屈斜路の湖(うみ)にほろろ流るる 丹人
峠を越へて
四時二十分 屈斜路湖畔の池の湯に到着す
衣を脱ぎて
藻のはりてぬるぬるする危うき中を
ゆるゆると入りいけば
湯温三十九度なり
先に入られし御方の曰く
「藻が体に良いらしい」と
次に
和琴半島に移動すれば
露天風呂に入る
嗚呼
湖畔はいづこにても
掘れば温泉の湧くといふも
いとよろしかな
湯を出でて
湖畔を歩けば
さざ波の光の美しくして
山青くみどりも青く湖(うみ)青く 黄蝶の飛びてゆく あらよっと! 丹人
十七時二十分 屈斜路湖畔の宿に到着す
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芸術人文23位なり 50代21位茨城2位なり 短歌12位なり
引き続きご支援のほど宜敷御願申上候 頓首 再拝