元来書の手本は書簡なりき われ思う書簡こそ作品なりと 誦するに歌の如き響きあり 観するに水茎の如き墨の跡あり これを我国の伝統といわずして何をばそれという哉 われ候文の復活を思ひ起こす 何をもて学ぶべきや あれこれ惑いしが ふと思い起こせり わが父がその父より譲り受け保管せり一冊の本有り 表紙 巻頭文及び目次の一部はすでに破れしが それ以外の全てが残りをれり 昭和4年9月20日初版発行なれど昭和10年9月20日14版なるものなり 編集者は中村素堂及坂本秋翠 発行所は東京市麹町区富士見町の教文社なり
第1編は毛筆の部157頁 第2編はペン字の部64頁 第3編は書翰文辞典180頁 ここに掲げたるは第1編中の暑中見舞の文なり
文曰 一簡拝呈仕(つかまつり)候 愈々(いよいよ)土用に入(い)り候 昨今の酷暑洵(まこと)に堪えがたく候砌(みぎり) 皆々様お揃ひ御変わりもなく御起居披遊(あそばされ)候御事と遙かに奉賀(がしたてまつり)候 降而(くだって)当方も一同幸(さいわい)に恙(つつが)なく消光(しょうこう)致し居り候間(あいだ)他事ながら御休神下され度(たく)候 扨(さて)此品軽少には候へども御見舞のしるし・・・
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