ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

南極料理人

2009年08月24日 | 激辛こきおろし篇
タイトルで『南極料理人』と堂々とうたっているにも関わらず、この映画どうもロケ地が南極ではないらしいのだ(北海道の網走ってせこすぎない?)。ウィルスさえいない極寒の地では、空気中に不純物が混ざっていないため息が白くならないという話を聞いたことがあるのだが、生瀬の吐く息の白いこと白いこと(後からCGで合成?何の意味があるの)。そのせいか、隊員たちの基地生活にこれっぽっちの緊張感も感じられない。だれきったエピソードの積み重ねに見終わった後に、(おそらく国民の税金で食っちゃ寝している越冬隊員に対して)「(税)金返せ」と思わず叫びたくなったほどだ。(残念ながら)本年度劇場で鑑賞した邦画部門ではワーストに輝く1本となってしまった。

監督の狙いとしては食事だけが楽しみの越冬隊員たちの基地生活を面白おかしく描きたかったのだろうが、その肝心の食事が全然うまそうに見えないのだ。髭もじゃのむさ苦しい男たちが薄暗い部屋の中でかきこむ冷凍食中心の食事が(普通の演出で)うまそうに見えるはずもなく、『かもめ食堂』のフードコーディネーターをわざわざ連れてきた効果を映画の中に発見できなかったのも、この新人監督の実力不足が原因としか思えない。

料理の方がダメだったらせめて役者だけでもと思って(途中退席したいのを)我慢して見続けたのだが、今が旬の堺雅人そして生瀬勝久の演技までも見事に殺してしまったこの監督の罪は重い。元海上自衛隊員のシェフ役の堺はともかく、他の隊員たちの人物背景がほとんど描かれていないため、イヤイヤ南極に来させられてイヤイヤ任務をこなしている隊員たちのやる気のなさぐらいしか伝わってこないのである。どたばたの域を出ていない程度の低いギャグに苦笑するのがやっとこという感じなのだ。

料理が主役の映画にも関わらず(感度が低いフィルムを使ったことが原因と思われる)薄暗い映像、やたらとブラック・アウトをかませるブツ切り編集、後から無理やりつけ加えたような強引な伏線、(現役越冬隊員のみなさんが見たら激怒しそうな)底の浅い人物描写。どこをどうとってもダメダメにしか見えないこの映画を見た後で、なぜか○○○○を食べたくなった。極夜とブリザードに閉じ込められ気が変になりかけていた隊員のために、堺雅人演じる西村シェフが丹精こめて作った○○○○だけが、唯一おいしそうに見えたのである。

南極料理人
監督 沖田修一(2009年)
〔オススメ度 

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