ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ハケンアニメ!

2022年10月11日 | 激辛こきおろし篇

おそらく、2017年公開『カメ止め』の興行的成功に目をつけた製作陣が、映画→アニメの世界におきかえて2匹目のドジョウをねらったお仕事ムービー企画であろう。今どきのアニメには全く興味のない私のようなジジイが見ると、つい製作現場で働いている人たちまでアニメの中の登場人物のようにリアリティのない存在に見えてしまって、『カメ止め』には感じられた熱き想いをまったく感じられなかったのである。それは何故か?

クリエイティブに携わる夢見がちな人々にリアリティを与える仕掛けが、この作品にはまったく見られないから。一言でいうとそういうことなのである。三重の入れ子構造によって、虚構の映画世界と現実の製作現場が見事に対比されていた『カメ止め』のような演出がなされていないこの映画に描かれる、アニメ界の神様と新人女性監督の視聴率競争にリアルを感じられる人は、一部のアニヲタの皆さんを除くとほとんどいらっしゃらないのではないだろうか。

歴代映画ベスト10のほとんどがアニメーションで占められているわが国において、それは単なる思い違いですよ、とおっしゃられる方がいるのかもしれない。ほとんどつながりのない(&ロマンスもない)実写部分の2ドラマ。それとはまったくリンクしていない中途半端なアニメ2作品をあわせた合計4作品は、確かに見た目豪勢ではある。しかし大盛料理にありがちなうす味な展開は、私のような実写派にとって満腹には程遠い味付けなのである。

地球環境の悪化に両親の介護、コロナ禍で職場や学校にさえ満足に通えない子供たち。さらに、ロシアのウクライナ侵攻に伴うインフレ、移民増大とバーターの失業率悪化。将来なりたい職業はと聞かれて「YouTuber」ぐらいしか思いつかないお先真っ暗な日本で、そもそもどんな夢を持てというのだろう。余計なことを考えられなくなるくらい仕事やアニメ(またはゲーム)に没入せよ、といわれてもねぇ。ブラック業界の仕事をいくら美化したところで今どき誰もやりたがらんでしょ、多分。

ハケンアニメ!
監督 吉野耕平(2022年)
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