川島曰く、関東大震災で壊滅的被害を受けた銀座の現在(1955年当時)を、都市考現学的に描いた作品だという。森繁が唄う『銀座の雀』の歌詞のように、銀座の角から角までをかたり尽くした映画という位置づけらしい。
一説によると、三橋達也演じるコニーの花屋の坪数とも推測される映画タイトル。しかし、そんな単純な物の考え方をあの川島がするだろか。皆さんご存知のように銀座は8丁目まで。24が丁目を指しているとするならば、あとの16丁は?と当然疑問に思われるはず。
趣味のミノックス片手にロケハンに訪れた川島の目には、銀座という街の姿が24÷8=3 層構造に見えたのではないだろうか。
【第1層】小津や成瀬が描いた古典的な銀座。中心にいるのは和服が似合う女月丘夢路演じる京極和歌子。戦争孤児の花屋店員浅丘ルリ子含む。
【第2層】 高層デパートが立ち並び、ネオン華やかな銀座。大阪から出てきた雪乃(北原三枝)の様になっていないポージングやマンボダンスが愉快なコメディパート。
【第3層】 ポンの取引やブルーフィルムでヤクザがしのぎを削る裏銀座。謎のGM探しは『第三の男』風。
その銀座3世界の狂言回しが、ナレーターの森繁というよりは、銀座浄化に体をはる熱血花売り男コニーと云った方が当たっているだろう。ごった煮感は確かに、だが、ロマンスにコメディそしてノワールミステリーまで楽しめる実験的作品としての価値は否定できないのである。
銀座二十四帖
監督 川島雄三(1955年)
[オススメ度 ]