君塚良一&亀山千広の『踊る大捜査線』コンビによる、フジTV系刑事ドラマ。歳をとるたびに目の下のたるみ具合が親父さんに似てきた佐藤浩市とこれまた二世俳優の松田龍平が刑事コンビを組んで、受験ノイローゼの兄が犯した殺人事件のせいでマスゴミからいわれなき攻撃を受ける妹・沙織(志田未来)を護衛するヒューマン・ポリス・ストーリー。
さすがに刑事ものの扱いには手馴れた2人だけに、「加害者の保護」という視点から書かれた脚本はそつなくまとめられ、『踊る・・・』に感銘を受けた人ならそれなりに楽しめる内容になっている。作品の中で加害者の妹というだけで犯罪者扱いするマスコミを明確に敵視しているので、自分で自分の首をしめるようなフジTVの潔さにはちょっぴり驚かされた。
子供がひきこもりの新聞社記者(佐々木蔵之介)とハミダシ刑事との全面対決かと思いきや、真の敵役はそのマスゴミをも出し抜く大魔人?たちにいつのまにかすりかえられてしまっている。この辺は、マスゴミを全面的に悪として描くことができない、TVキー局がスポンサーについた映画の限界を感じてしまうのだ。
「背筋が凍るぜ」「シャブづけにしてくださいよ」など、映画公開当日にフジTVで放送された『誰も守れない(映画の4ヶ月前を想定したドラマ)』が伏線となっている台詞が映画の中で連呼されていたが、イマイチ空振りに終わっていた感がいなめない。
要するに2時間ドラマで映画と連携させてもそれを見ていない観客にとってはちんぷんかんぷんであり、すでに固定客のついている人気連ドラを単純にそのまま映画化して興行を狙った方が賢いということなのだろう。メディアミックスなどという得体の知れない理論にふりまわされた挙句、余計な出費をしてしまった制作側の底の浅い戦略が見え隠れする1本である。
誰も守ってくれない
監督 君塚 良一(2008年)
〔オススメ度 〕
さすがに刑事ものの扱いには手馴れた2人だけに、「加害者の保護」という視点から書かれた脚本はそつなくまとめられ、『踊る・・・』に感銘を受けた人ならそれなりに楽しめる内容になっている。作品の中で加害者の妹というだけで犯罪者扱いするマスコミを明確に敵視しているので、自分で自分の首をしめるようなフジTVの潔さにはちょっぴり驚かされた。
子供がひきこもりの新聞社記者(佐々木蔵之介)とハミダシ刑事との全面対決かと思いきや、真の敵役はそのマスゴミをも出し抜く大魔人?たちにいつのまにかすりかえられてしまっている。この辺は、マスゴミを全面的に悪として描くことができない、TVキー局がスポンサーについた映画の限界を感じてしまうのだ。
「背筋が凍るぜ」「シャブづけにしてくださいよ」など、映画公開当日にフジTVで放送された『誰も守れない(映画の4ヶ月前を想定したドラマ)』が伏線となっている台詞が映画の中で連呼されていたが、イマイチ空振りに終わっていた感がいなめない。
要するに2時間ドラマで映画と連携させてもそれを見ていない観客にとってはちんぷんかんぷんであり、すでに固定客のついている人気連ドラを単純にそのまま映画化して興行を狙った方が賢いということなのだろう。メディアミックスなどという得体の知れない理論にふりまわされた挙句、余計な出費をしてしまった制作側の底の浅い戦略が見え隠れする1本である。
誰も守ってくれない
監督 君塚 良一(2008年)
〔オススメ度 〕