タルコフスキーを気障に語った後にこの映画についてコメントするのも我ながらどうかと思うのだが、そのギャップを楽しむのもまた映画の醍醐味である。
イーライ・ロスと言えば、ホステルシリーズでもお馴染みのホラー映画監督。ハリウッド俳優でもあるイーライの作風はと言えば、ドギツイほどグロテスクな殺戮シーンで、こちらも長身イケメンの容姿からは想像もできないギャップ感。
今回はその血みどろ演出はかなりおさえめなかわり、ハリウッドの豪邸に住んでいる金持ち父さんエヴァン(キアヌ・リーヴス)をこれでもかといじめぬく、イカレビッチ二人組の“理由なき淫行”?がメインディッシュとなっている。
ストーリー自体は『メイク・アップ』という映画のリメイクになっているらしくあまり目新しさを感じないものの、ジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)と満島ひかりにちょっと似のベル(アナ・デ・アルマス)のエロ小悪魔ぶりが半端ない。
どうやら2人の小悪魔ちゃん家族関係に元々トラウマがあるようなのだが、そこはイーライあえて深く突っ込まず、ピンクの熊ちゃんパンティを口に突っ込まれたキアヌが「HELP!」と叫ぶ絵が、とにかくうらやましいもというら悲しく笑えるのだ。
淫行罪を盾に精神的に揺さぶりをかけながら、元救世主を逆レイプ、仕上げはダメダメ父さんの変態プレーをネット公開するというフルコースは、マゾッ気のある君ならば一発昇天まちがいなし、思わず👍をクリックしてしまうことだろう。
こういう映画を先刻ハリウッドを追放されたワインスタインのようなセクハラオヤジがプロデュースしたりすると、「何考えてんでだこの変態野郎」と総バッシングを受けること必至だが、イーライのようなモテ男が監督するからまだ洒落で済むのである。
ノック・ノック
監督 イーライ・ロス(2015年)
[オススメ度 👍👍👍]