ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

X-MEN フューチャー&パスト

2017年11月07日 | ネタバレなし批評篇


ファースト・ジェネレーションの続編にあたる本作は、今回原案のクレジットに留まっているマシュー・ボーンが9割方脚本を書き終えていた1本だ。

ストーリーの決着のさせ方をめぐって20世紀FOXと意見が対立。結果ボーンは監督を降板し、代わりに初代シリーズ監督のブライアン・シンガーがメガホンをとることになったらしい。

予告編には登場していたローグ(アンナ・パキン)も、なぜか本編からはその登場シーンがほぼ全てカットされており、後になってカット部分を元に戻したローグ・エディションなるヴァージョンがわざわざ追加発売されたという。

センチネルと呼ばれるあらゆるミュータントの能力を瞬時にコピーできるロボット軍団がいきなりX-MENたちに襲いかかり防戦一方となる冒頭から、ウルヴァリンが過去に派遣されペンタゴン内部に幽閉されたマグニートー(マイケル・ファスベンダー)を救出する映画前半は確かに新鮮味もあり見応え十分。

特に目にも止まらぬ早業のクイックシルバー(エヴァン・ピータース)が大活躍するパートは、『キック・アス』を彷彿とさせる遊び心溢れる演出が利いていて見所満点だ。ハッピーな気分にさせてくれる70年代風ガジェットとなぜかとてもマッチするウルヴァリンとのコラボをもっと長く見たかった気がするくらい。

しかし、ミスティークやマグニートーがやたらしゃしゃり出てくる映画後半はすでに見飽きたいつもの展開。そもそもセンチネルのコピペ能力は、ミスティークというよりもむしろカットされたローグの能力であり、おそらくローレンスやファスベンダーを無理やりにでもフューチャーしなければならない裏事情があったにちがいない。

是が非でも興業収入を安全かつMAXに引き延ばしたいハリウッドと中味最優先の映画監督との確執は、過去にもそして未来にも続くであろう永久課題。降板させられた腹いせに撮った『キングスマン』というまるで本作の当てつけのような映画タイトルが、マシュー・ボーンの気持ちを代弁しているかのようである。

X-MEN フューチャー&パスト
監督 ブライアン・シンガー(2014年)
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