ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

永遠のこどもたち

2009年01月03日 | 映画館で見たばっかり篇
『海を飛ぶ夢』でハビエル・バルデムの相手役をつとめたベレン・ルエダが子供の純情と母性愛を併せ持つ女性ラウダを熱演している。元孤児院だった屋敷にあらわれる幽霊たちに息子のシモンをさらわれたと信じるラウラが執念とも思える探索の末たどりつく真実は、ある意味とっても残酷でありそれでいて幸福な感動を呼び起す(のかもしれない?)。

そんな『パンズ・ラビリンス』的なラストへと導くのは、『シックス・センス』や『アザーズ』と同じかなりホラーな展開。しかし、この映画には<生きている人が実は死んでいた>というようないつものオチは存在しない。神隠しにあった子供の行方そのものがミステリーとして物語が進行していくのだが、その探索に付随して発覚するサイコな事件の方がよっぽどインパクトがあるはずなのに、本作品の中ではっきり解明されることはなくなぜかサラリと流されてしまっている。

それゆえ意外なプロットを期待する人にとっては、なんとも物足りない仕上り。かといって感動的ラストを期待できるのかと問われれば、いまいち自信をもっておすすめすることができない。観客のハートをつかみたかったのは、息子シモンとラウラとの母子愛によってなのか、それともラウラと孤児院の同級生たちとのネバーランド的○○によってなのか。その辺がひっかかって見終わった後どうもすっきり消化しきれないのである。

いたずらに2兎を追うことのないもっと密度の濃い脚本に仕上がっていたならば、自分の弟子なんかに監督をやらせずに、おそらくギレルモ・デル・トロ自らがメガホンをとっていたに違いないのである。

永遠のこどもたち
監督 J.A.バヨナ(2007年)
〔オススメ度 

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