ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

オアシス

2009年06月16日 | ネタバレなし批評篇
脳性麻痺の女と知的障害の男があるきっかけで出会い、恋に落ちる禁断の純愛ストーリー。邦画にも、健常者の大学生と下半身付随の女の子の恋愛を描いた『ジョゼと虎と魚たち』(犬童一心監督)という佳作があったが、韓流の本作品は“恋をする当事者が2人とも障害者”というさらにエグい設定。軽度の障害者である男の方はともかく、要介護レベル5の脳性麻痺者コンジュを演じたムン・ソリの苦労は並大抵ではなかったと想像できる。

ムン・ソリ自身、病院のリハビリセンターに勤務していた経験が大変役にたったとインタビューにこたえていたそうだが、喜怒哀楽が観客に伝わりにくい難役を見事にこなしている。その辺はイ・チャンドン監督も気づいていたらしく、もしも私が健常者だったらの想像シーンを時折差し込むことによって、(見かけは障害者でも心の中は)純粋な乙女の恋心をうまく演出している。

鼻をすするだけであまり知的障害には見えないソル・ギョングの役作りや、自分をレイプしようとしたジョンドゥをいとも簡単に受け入れてしまうコンジュの心変りに若干不自然さがあるにしても、2人の恋の道行を邪魔する周囲の人間(健常者)たちのあらぬ誤解が浮き彫りにされた脚本は、おおむね成功しているといえるだろう。明るい未来を予想させるほんわかとしたラストについてもこれはこれでありだと思うのだが、どちらかの死によって周囲が誤解に気づかされるというシビアなエンディングも見たかった気がする1本だ。

オアシス
監督 イ・チャンドン(2002年)
〔オススメ度 

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