世界最大の石油産出国=サウジアラビアと世界最大の石油輸入国=アメリカの微妙な関係について、社会情勢に疎い人でも理解できるようにダイジェストで解説が入っているとても親切な映画だ。リャド(サウジアラビア)のアメリカ人居留区である日突然大規模なテロが勃発する。サウジ警察の制服を着たテロリストがマシンガンでアメリカ人を大量虐殺するシーンを見ていると、9・11のトラウマから解放されようやくテロを対象化できるようになったアメリカを感じることができる。
本作品はそのテロ事件の真犯人を追うFBI捜査官の活躍をストレートに描いており、けっしてホワイトハウスとキングダム(サウジ王国)の癒着を暴き出すような重々しい内容にはなっていない。国防省の反対を押し切って事件の捜査にやって来たフルーリー(ジェイミー・フォックス)たちを迷惑がるサウジ当局のおかげで、捜査が遅々として進まない中盤のシークエンスには中だるみ感を確かに覚える。しかし、CSIのような科学捜査を経た後に展開される、怒涛の人質奪還戦闘シーンを盛り上げるためと考えるならば、十分許容できる範囲の演出だ。
現場を案内するサウジ警察官ファサリがなぜあそこまでFBIに協力的であったのかの説明はかなり甘口ではあったが、テロリストや非協力的なサウジ警察にずうっとやられっぱなしだったFBIが、チャンスを得たとばかりにラストで見せる迫力満点の市街戦は、(言葉が不適切かもしれないが)非常に痛快でさえある。「奴らを皆殺しにする」9・11を忘れるなと言わんばかりの不穏当発言が最後に飛び出したとしても、テロを題材とした戦争アクションムービーとして現実から切り離して見れば本作品は間違いなく一級品だ。
監督 ピーター・バーグ(2007年)
[オススメ度 ]
本作品はそのテロ事件の真犯人を追うFBI捜査官の活躍をストレートに描いており、けっしてホワイトハウスとキングダム(サウジ王国)の癒着を暴き出すような重々しい内容にはなっていない。国防省の反対を押し切って事件の捜査にやって来たフルーリー(ジェイミー・フォックス)たちを迷惑がるサウジ当局のおかげで、捜査が遅々として進まない中盤のシークエンスには中だるみ感を確かに覚える。しかし、CSIのような科学捜査を経た後に展開される、怒涛の人質奪還戦闘シーンを盛り上げるためと考えるならば、十分許容できる範囲の演出だ。
現場を案内するサウジ警察官ファサリがなぜあそこまでFBIに協力的であったのかの説明はかなり甘口ではあったが、テロリストや非協力的なサウジ警察にずうっとやられっぱなしだったFBIが、チャンスを得たとばかりにラストで見せる迫力満点の市街戦は、(言葉が不適切かもしれないが)非常に痛快でさえある。「奴らを皆殺しにする」9・11を忘れるなと言わんばかりの不穏当発言が最後に飛び出したとしても、テロを題材とした戦争アクションムービーとして現実から切り離して見れば本作品は間違いなく一級品だ。
監督 ピーター・バーグ(2007年)
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