ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ユビサキから世界を

2008年03月11日 | 激辛こきおろし篇
放課後のカラオケの約束をするように、『今日死のうか』と、軽い約束を交わす仲良4人組。この63分の中篇を見る大人のほとんどが、この少女たちに反感を覚えてしまうのではないだろうか?吉本ばななの初期作品にもみられたことだが、物語にリアリティをもたせるために、簡単に<死>を扱おうとする映画ないし小説をどうも好きになれない。

しかも登場人物は生きることの本当の苦しみもまだ知らない女子中学生たちだ。計画決行当日、家族や彼氏に別れ告げる、とってつけたようなエピソードにも全く共感することができない。元特攻隊員のおじいちゃんが語る<ユビサキ>のお話などは最悪で、『キャリー』のごとく土から手がと飛び出した瞬間「おいおい」と思わずとドン引きしてしまったくらいだ。

岩井俊二の『リリィ・シュシュのすべて』などと比べると、行定勲は子供たちの気持ちが全くわかってないことが伺える。少女たちの漠然とした自殺への憧憬を描いただけで、物語には<ユビサキ>ほどの深みも感じられない。この映画をみて、醒めきっている現代の子供たちが<世界を変えられる>などと信じるわけがない。

監督 行定勲(2006年)
〔オススメ度 

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