ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

エグザイル/絆

2009年06月02日 | ネタバレなし批評篇
中国返還真近のマカオ。ウーの自宅を訪れる4人の男たち、ブレイズ、タイ、ファット、キャット。一発触発の緊張感の中、家財道具を軽トラに積んだウーが帰宅する。ブレイズはボスのフェィに銃を向けた報復に、タイはそのウーを守るためにやって来たらしい。そして至近距離からの激しい銃撃戦。腕がいいのか悪いのか銃弾はなぜか一発も当たらない。「ミルクの時間よ」ウーの妻の一言によって、今まで撃ち合っていた男たちは昔の仲良し5人組に戻って食卓を囲む・・・。

香港裏社会を描いてきたジョニー・トーの最新作は『ワンス・アポンナ・タイム・イン・マカオ』といった趣。ガキの頃からの硬い絆で結ばれた男たちの友情は、たとえ何があろうとけっして壊れることがないという設定は、裏切り者が必ず排出される洋物ギャング映画とは一味違っている。しかし、ガキの頃のエピソードが一切カットバックされることはなく、想い出といえば悪がき5人組の古ぼけた写真だけというのはなんとも物足りない。すぐにジャレ合ういい歳こいた男たちの姿も欧米的視点で冷静に眺めれば、801臭がそこはかとなく漂ってくるのだ。

悪の権化のようなボスvs仁義ある男たちという構図は単純明解でわかりやすい。対して、狭いアパートやレストラン内で繰り広げられる敵味方入り乱れての至近戦は(ジョニー・トーオリジナルの演出なのかもしれないが)、誰がどこを狙って撃っているのかが非常に判別しにくいという点が玉に傷。アジア的連帯感と銃撃戦のカオスさえ気にならなければそれなりに楽しめるノワール作品であることは間違いないのだが、男優陣の臭い演技に「カッコつけんなよ」と思わず突っ込みを入れたくなる1本だ。

エグザイル/絆
監督 ジョニー・トー(2006年)
〔オススメ度 

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