ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ぼくの大切なともだち

2009年06月03日 | ネタバレなし批評篇
友達のいないフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)はオークションで落札した高価な壺をかけて、10日以内に親友を見つけることを古物商仲間の前で約束する。偶然知り合った人当たりのいいタクシー運転手ブリュノ(ダニー・ブーン)に、友人を作るだめのレクチャーを受けるのだが・・・。

嫌われ者のいけすかない男が心の友を見つけるまでのハート・ウォーミング・ストーリーは目新しさにかけるのかもしれないが、何せルコントらしいリズムの良さが魅力の1本。短いシーンを小気味よくつないだ編集に無駄がないため最後まで観客を飽きさせることがない。

知り合いの葬式の合間にコソコソと仕事の電話をかけるフランソワに未亡人が侮蔑の視線を投げる数分の冒頭シーンだけで、フランソワという男の素性が観客に全て伝わる匠(たくみ)にうならされた後、映画前半は自虐ネタともとれるそのフランソワの嫌われっぷりが笑いの“ツボ”となって観客を和ませてくれる。

映画後半は、ブリュノの心の内面にスポットをあてて、今までは気にかけることもなかったフランソワが心の底からブリュノを思いやるという脚本も秀逸。但し、「愛は金で買えるが、友情は金で買えない」という鉄則からすると、「クイズ$ミリオネア」にブリュノが出演するくだりなどは、事実だけ見れば「友情を金で買った」といえなくもない展開が気になるところ。

真実の友情をラストにどう表現するのか。骨董品の高価な壺を逆利用したシークエンスも、無償の友情を完全に演出できたとはいいがたい。利害関係が生じにくい少年時代ならいざ知らず、経済でがんじがらめになった現代社会でその答えをみつけるのは、名匠ルコントといえども容易ではなかったということだろうか。

ぼくの大切なともだち
監督 パトリス・ルコント(2006年)
〔オススメ度 

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