ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

シェイプ・オブ・ウォーター

2018年03月07日 | 映画館で見たばっかり篇


2つ3つエログロいシーンは出てくるものの、まるでディズニームービーのように滅菌消毒された本作は、高校生以上のカップルにもオススメできるロマンティック・ファンタジー。要するにいい歳こいた大人がわざわざ見にいく映画ではないということだ。

人魚と青年との恋物語『スプラッシュ』に酷似しているストーリーはこれといった新鮮味もなく、『パディントン』で優しいお母さんを演じていた若作りのオバサン(サリー・ホーキンス41歳)と半魚人のまぐあいを見て萌えることのできるのは、かなりマニアックな層に限られるだろう。

主人公イライザと捕獲された半魚人が一瞬のうちに恋におちた理由もあやふやで、『スプラッシュ』のような実は命の恩人だった的な伏線がどこをどう探しても見当たらない。大体あんな簡単に○○できるんだったらはじめっから病気のフリなんかすんじゃねぇよと言いたくなるのだ。

イライザの住居を名画座の上階にして、オールドムービーへのオマージュをふんだんに盛り込んだ演出も、アカデミー会員へのそん度がみえみえであり、いちいち調べてみる気持ちが起こらないほどあざとらしい。

幼少期の虐待が原因でイライザは口がきけず、そのイライザと不自然な同棲生活をしているノーマン・ロックウェル風の画家(リチャード・ジェンキンス)はホモセクシャル。アフリカ系を差別したり、半魚人を虐待するシーンがやたらと目につく本作は、つまり反トランプ派が大多数のハリウッドで大流行のLGBT映画なのだ。

それが悪いことだと言うつもりは全くないが、あまりにもポリコレの度合がすぎると劇場公開映画は限りなく稚拙になっていき、今後ますます袋小路に追い込まれいくことだろう。アカデミー賞等の映画賞はことごとく(同僚をディスったコメントが一番注目を浴びるほど)権威を失い、比較的制限の少ない自由な創作環境を求めて、才能ある映画監督はTVドラマやネットフリックスのような媒体へと表現の場を移していくに違いない。

シェイプ・オブ・ウォーター
監督 ギレルモ・デル・トロ(2017年)
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